国内SaaS料金の基準とは? 日経コンの特集ではメール500円、CRM1万5000円、カスタマイズは1000万円弱が一般的と
先週届いた2月17日付け日経コンピュータの特集「クラウドの値段 ~78の主要SaaSを徹底調査~」はタイトル通りとても情報量の多い、力の入った特集でした。一部がWebでも公開されていまます。
Google Apps、Salesforceの値段が目安に
特集は分野別に「グループウェア」「営業支援」「ERP/会計」「人事/教育、Web会議」に分かれて調査されています。
グループウェアの章では、グーグルの提供するGoogle AppsがSaaSの料金の目安になっていると、次のように書かれています。
グーグルが2007年に提供を開始した企業向けのSaaS「Google Apps Premier Edition」が、SaaSの料金水準に大きな影響を与えている。Webメールサービス「Gmail」を軸に、予定表や文書管理などの様々な機能を1ユーザー当たり月額500円(年額6000円を月割り)、初期費用なしという破格の料金設定で展開したからだ。SaaS型グループウエアの料金は、この“グーグルプライス”が標準になりつつある。
たしかに特集に掲載された料金表を眺めてみれば、1000円以下の料金でNECの「OfficeForce Standard」、NIコンサルティングの「NIコラボ」、NTTコミュニケーションズの「Bizメール」、NTTレゾナントの「ビジネスgoo」、大塚商会の「アルファオフィス」など多くのSaaSが提供されていることが分かります。
営業支援の章では、やはりセールスフォース・ドットコムが基準を作っているとのこと。
「1ユーザ-当たり月額1万5000円」。SaaS型で提供されるSFAの月額料金は、セールスフォース・ドットコムが提供する「Salesforce CRM」の主力プランである「Enterprise Edition」が事実上の“業界上限価格”という位置づけになっている。
対抗馬の一つであるSAPはこれを3000円上回る月額1万8000円に設定しているものの、他の競合各社の場合、セールスフォース・ドットコムを下回る価格設定が主流である。
SFAではそれぞれの会社の業態や営業形態によって導入前にカスタマイズが必要となりますが、そのカスタマイズ料金にまで踏み込んでいます。
初期費用についてはケース・バイ・ケースだ。営業活動は事業内容や取引先の業態などによって異なるため、非定型で決まった使い方がないからだ。
それでもおおまかに言うと、中堅以上の企業がSaaS導入するときには、「1000万円弱のSI費用がかかるのが一般的」(日立ソフトウェアエンジニアリングの山本重樹SaaSビジネス部長)
そしてここでもNIコンサルティングの「顧客創造日報」、SAPジャパンの「SAP CRM On-Demand」、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM Enterprise Edition」、日本オラクルの「Oracle CRM On Demand」、ネオジャパンの「Applitus」、富士通の「CRMate/お客様接点力」、マイクロソフトの「Dynamic CRM」などなど、各種SaaSの料金が並んでいます。
国内のSaaSを徹底的にまとめた雑誌にふさわしい特集
国内のSaaSについてこれだけ徹底的に情報を集めて1つの特集にまとめた手腕は、さすが日経コンピュータ編集部の仕事だと思います。そしてこうした多くの情報量を見せる方法としてはWebよりも紙の方がずっと優れているので、まさにネットではできない雑誌の特集の見本のような記事でした。
と同時に約80種類のSaaSが並んだことで、SaaSが国内で充実してきたことを実感した特集でもあります。パッケージソフトウェアの登場によってSIerの仕事のかなりの割合がパッケージのカスタマイズへとシフトしたように、充実してきたSaaSをカスタマイズして個々の企業のビジネスへとフィットしていく仕事というのが、これから本格的に始まることを予感させます。
エンドユーザー企業だけではなく、SIにかかわる企業にとっても今号の日経コンピュータの特集は見逃せないでしょう。