国内のSaaS市場は5年で1.6倍、PaaS/IaaS市場は5年で10倍以上の成長、富士キメラ総研
調査会社の富士キメラ総研は、日本国内のクラウドコンピューティングに関するサービスの市場予測を発表しました。
PaaS/IaaSは10倍以上の成長
予測によると、創成期から成長期に移行しつつあるクラウドコンピューティングの市場では、アプリケーションをサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)が中心的な存在で、市場規模は2009年度が1313億円、2010年度は1502億円。それが5年後の2014年には約1.6倍の2119億円になるとのこと。
ITの基盤をサービスとして提供するPaaS(Platform as a Service)やIaaS(Infrastructure as a Service)は、さらにそれ以上の成長を見せ、2009年度には133億円、2010年度には250億円、2014年度には1508億円と見込まれ、2009年度と比較して11倍以上にもなると予測されています。
こうした成長の背景として同社は「IT関連への投資抑制が続く一方で、コスト削減と競争力強化を図る戦略的投資」を挙げています。
さらに、SaaSはどのような用途で使われているのか、カテゴリごとの予測が以下のグラフです。
グラフを下から見ていくと、基幹系、つまり財務や会計、販売、在庫管理などのアプリケーションは、企業がこうしたシステムを外部に預ける抵抗感から普及が遅れていたものの、中小の製造業を始めとして普及が始まると予測。ただし大企業ではこの分野はプライベートクラウドへ移行すると予想されています。
Web構築ツールは、ECサイト構築が中心。セキュリティはウイルス対策が中心で、中規模、小規模ユーザーがセキュリティ管理の負担軽減を目的にSaaSへ移行しているとのこと
もっとも市場規模が大きいのが「情報活用」系で、電子メールやグループウェアなどのコラボレーション機能のほか、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」や、日本オラクルの「Oracle CRM On Demand」などもこのカテゴリに含まれています。
音声/映像系は、電子会議サービスとCTI(Computer Telephony Integration)とのこと。
ワールドワイドのSaaS成長率は5年で3倍以上
米調査会社のIDCが6月に発表した、ワールドワイドのSaaS市場規模の予測もみてみましょう。
それによると、2009年はクラウドコンピューティングが提供するサービスのうち73%がSaaSによるもので、市場規模は13.1ビリオンドル(131億ドル。1ドル90円換算で、1兆1790億円)。それが2014年には40.5ビリオンドル(405億ドル。1ドル90円換算で3兆6450億円)になるだろうとされています。
SaaS represented just over 73% of IT public cloud services revenue in 2009. The SaaS market reached $13.1 billion in revenue in 2009, and IDC expects it will grow to $40.5 billion by 2014 at a compound annual growth rate (CAGR) of 25.3%.
2009年から2014年で比較すると約3倍の成長となっており、日本市場でのSaaSの成長率よりも高い数字が出ています(ただし、SaaS市場の定義が異なる可能性がありますので、厳密な比較ではありません)。