英国政府、独自のクラウドを計画。オープンソースの採用も。日本では長崎県が自治体クラウド開始
英国政府は政府独自のクラウドを構築するとともに、政府職員が利用するデスクトップアプリケーションにオープンソースを採用する計画を明らかにしました。guardian.co.ukの記事「Government to set up own cloud computing system」が伝えています。
日本では長崎県が開発した自治体クラウド「長崎県電子県庁システム」が県内自治体にサービス提供を開始したというニュースも。
2015年までにデスクトップをクラウドで提供
guardianの記事によると、政府のコンピュータはいくつか(dozen)の非常にセキュリティの高いデータセンターに集められることになり、現在中央政府や警察、官庁が利用している既存の500もの施設と置き換えられるとのこと。
と同時に、政府が利用しているデスクトップPCでのオープンソースの利用を推進することも明らかにしています。英国政府CIOのJohn Suffolk氏は、2015年までに中央政府のデスクトップの80%をクラウドによる「シェアードユーティリティ」を通じて提供するという戦略を示唆しました。
さらに政府は独自の「App Store」の構築も構想しているとのこと。これは政府内の各部署でよく発生する課題に対して、外部で構築されたアプリケーションの再利用を適用していこうという考えに基づくもの。
また、CIOのJohn Suffolk氏は「規則により」市民の個人情報は国外に保存することはないとしながらも、グーグルやマイクロソフトのクラウドサービスも条件さえ合えば利用する可能性があるとしています。
He did not rule out using Google's or Microsoft's new cloud services: "We will see if they fit our business requirements and personal data requirements," he said.
Suffolk氏はグーグルやマイクロソフトのクラウドサービスを除外することはないとしました。「もしそれらがわれわれのビジネス要件と個人情報要件に合致するのであれば考慮する」と話しました。
日本でも自治体クラウドが動き始める
昨年9月の記事「オバマ政権がクラウド調達によるコスト削減策を開始、日本は「霞が関クラウド」のままでいいのか?」で紹介したように、米国では昨年から政府によるクラウドの活用が始まっています。またロサンゼルス市がGoogle Appsを採用して話題にもなりました(参考:Google Apps採用のロサンゼルス市、特別バージョンを要求)。
日本ではご存じのように自治体クラウド、霞が関クラウドといった構想が立てられています。その中で長崎県は同県が開発した「長崎県電子県庁システム」をクラウド方式で県内の自治体に提供を開始したと報道されています(参考:Weekly Memo:動き出した自治体クラウド市場 (1/2) - ITmedia エンタープライズ)。
記事によると、2009年12月にまず電子申請の受け付けサービスを開始。今後、公共施設予約、電子決裁、グループウェアなどのサービスを順次、提供していく予定だそうです。さらにこのシステムは徳島県と和歌山県が導入を進めているともあります。
日本でも今年は米国や英国のように、政府や自治体によるクラウドが具体的に語られることになってきたようです。