アジャイル開発手法、大きな組織の導入率が高く、半数はスクラムを採用との調査結果
アジャイルソフトウェア開発向けのツールなどを提供しているベンダ「VersionOne」が、アジャイルソフトウェア開発の現状についてのアンケート調査を発表しました。アンケートには2570人、88カ国から回答が集まったとされており、ワールドワイドでのアジャイルソフトウェア開発の現状が把握できる資料となっています。
アジャイルソフトウェア開発手法は、この1年で日本でもあらためて注目が集まっている開発手法です。日本ではまだそれほど普及率が高くはないといわれていますが、ワールドワイドではどうなのでしょうか? 調査結果からポイントになりそうないくつかのグラフを紹介します。
大きな組織の導入率が高い
どのような規模の組織がアジャイルソフトウェア開発手法を導入しているのでしょうか。調査結果では、より大きな規模の組織の方が導入が進んでいることが分かります。75人以下の組織では20%程度、大きな規模では22%から25%程度の導入率のようです。
もっとも用いられている手法はスクラムで、ちょうど50%。2位のスクラムとXPのハイブリッドと合わせると、74%がスクラムを取り入れているといえます。
約半数がスクラムを採用
アジャイルの導入を決断しているのは組織の誰のなのか。調査によると、VP/Dir. of Developmentがトップ、Development Manager、Project Managerと続いています。日本の役職で考えると、事業部長、開発部長、プロジェクトマネージャといったところでしょうか。トップダウンの傾向が見て取れます。
逆に、アジャイルの導入でもっとも懸念されるのは、事前の計画がないこと(Lack of upfront planning)が46%、ドキュメントがないこと(Lack of documentation)が34%、そしてマネジメントの管理が失われること(Loss of management control)、予測ができないこと(Lack of predictability)などが続いています。
しかし、アジャイルはドキュメントがないわけではないという専門家の意見もあり、こうした懸念は多少の誤解に基づくものかもしれません。(参考: 「有能な人がコードを書くべき」「意志決定はできるだけ先延ばし」「契約を変えるのは難しい」アジャイルの専門家の答え)。
アジャイルソフトウェア開発手法を導入した結果、64%の人が「完成が早くなった」と評価しています。
最後は使っているツールについて。Excelが他を引き離して1位、続いてMicrosoft Projectとなっています。これは日本とそれほど変わらないかもしれませんね。
ちなみに、昨年の調査結果も記事で取り上げています。比較すると、よりトップダウンでの採用傾向が高まり、スクラムの導入率もわずかに向上しているようです。
そのほかアジャイル関連の記事は、タグ「アジャイル開発」からもぜひご参照ください。