オラクル、パブリッククラウド本格展開の発表はなし
昨日の記事「オラクルがパブリッククラウドへの参入を明日発表か?」で、ラリー・エリソン氏が「Cloud Services:Applications on Our Public Cloud 」と書いたプレゼンテーションを示したことで、今日の基調講演にて同社が本格的なパブリッククラウドサービスの展開を発表するのではないか? という予想記事を書いたのですが、残念ながらそうした発表は行われませんでした。
オラクルのクラウド戦略とは?
基調講演で「クラウドとは何だろうか?」という問いから、オラクルのクラウド戦略の紹介を始めたのは同社製品開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのThomas Kurian氏。
Kurian氏はガートナーによる定義を紹介した上で、クラウドとはネットワークを通じてデータベースやアプリケーションなどのサービスを提供すること、そしてモダンなアーキテクチャで構成されたデータセンターの2つが大事な要素だとしました。
そして、ここからオラクルによるパブリッククラウドサービスの紹介に入るのか? という期待とは裏腹に、Kurian氏はパブリッククラウドを実現する同社の製品群を、Exalogic、Exadataから紹介し始めました。
Kurian氏は、クラウドを構成するコンポーネントとしてのオラクル製品の優秀さをデモンストレーションを交えて紹介していきます。以下、ポイントを箇条書きにしましょう。
- Exadata、Exalogicは高性能なストレージ、サーバ、アプリケーションの仮想化機能を備える
- 管理ツールによって、ディスクからアプリケーションまですべてのレイヤを管理できる- データベースファイアウォール、暗号化などのセキュリティ機能を備える
- アイデンティティ管理によって、ロールベースのアクセス管理、監査などが可能
- ブラウザベースでアプリケーションのユーザーインターフェイス、ビジネスプロセスなどの振る舞いを変えることができる開発ツールを備える
- OLAPとレポーティングツールによるデータの分析
- コミュニケーションツールの提供
こうした、クラウドコンピューティングに必要なインフラストラクチャーからアプリケーションまですべての構成要素が揃っていることが、オラクルのユニークさだとKurian氏は説明します。
そしてここでオラクルのOn Demandチームを率いるJoanne Olsen氏が登場。
「On Demandチームがしていることとは何か? オラクルが提供するインフラからアプリケーションレイヤまでを統合したパワーを、サービスデリバリーモデルとして顧客に届けること」
「クラウドサービスはオラクルにとって新しいものではなく、すでに10年間やってきた実績がある」
Olsen氏はこう発言し、新しいサービスや戦略を発表することもなく壇上から去っていきました。オラクルは引き続きOn Demandブランドでのサービス展開をすることになるようです。「オラクルがパブリッククラウドへの参入を明日発表か?」という予想(と期待)は残念ながら外れてしまいました。
AmazonクラウドがOracle Applicationsを正式にサポート
一方で、AmazonクラウドからはOracle Applicationsの動作を正式にサポートしたとの発表が行われました。
Oracle Linux、Oracle Databaseをはじめ、E-Business Suite、PeopleSoft、SiebelのAMI(Amazon Machine Images)が提供される予定で、管理コンソールから起動することができるようになるとされています。