[速報]インテルがマカフィーを買収。モバイルデバイス戦略強化の柱にセキュリティを位置づけるのが目的か
インテルが、セキュリティベンダのマカフィーを買収したと発表しました。
プレスリリースによると、買収後もマカフィーはインテルのソフトウェア&サービスグループの下でそのまま運営されるとのこと。
モバイルにおけるセキュリティ戦略を強化へ
買収の目的としてインテルはプレスリリースで次のように書いています。
Intel elevates focus on security on par with energy-efficient performance and connectivity. The acquisition augments Intel's mobile wireless strategy, helping to better assure customer and consumer security concerns as these billions of devices connect.
インテルはセキュリティへのフォーカスを引き上げ、(プロセッサの)エネルギー性能比の向上およびコネクティビティと同等にします。買収は、インテルのモバイルワイヤレス戦略を強化するもので、顧客や消費者が利用する多くのデバイスの接続に関するセキュリティへの懸念を改善するものとなります。
つまり今回の買収により、インテルはモバイルデバイスにおけるセキュリティを、戦略的な柱の1つに据えることを明らかにしたわけです。
その背景には、モバイルデバイスにおけるセキュリティ管理機能が、一般的にみてまだ十分でないことが挙げられています。
The acquisition reflects that security is now a fundamental component of online computing. Today's security approach does not fully address the billions of new Internet-ready devices connecting, including mobile and wireless devices, TVs, cars, medical devices and ATM machines as well as the accompanying surge in cyber threats. Providing protection to a diverse online world requires a fundamentally new approach involving software, hardware and services.
この買収は、セキュリティがオンラインコンピューティングの基本的なコンポーネントであることを反映しています。現在のセキュリティへの取り組みは、数多くのインターネット対応デバイス、モバイルやワイヤレスデバイス、テレビ、自動車、医療機器、ATMなどへの脅威に対して十分な解決策となっていません。
これらの幅広いオンライン世界に対する防御は、ソフトウェア、ハードウェア、サービスを巻き込んだ根本的に新しいアプローチを必要としています。
この説明から分かるように、インテルはマカフィーの買収により、主にモバイルデバイスや組み込みデバイスを対象とした、ソフトウェア、ハードウェア、サービスの3つを組み合わせた新しいセキュリティ対策の提供を想定しているといえそうです。
ソフト、ハード、サービスの組み合わせによる差別化か
インテルはPC用のプロセッサ市場では圧倒的なシェアを獲得していますが、携帯電話、スマートフォン、テレビや自動車などの組み込みデバイスなどでは、まだPC用の市場ほど確固とした地位を築けていません。
こうした組み込みデバイス向けのプロセッサ市場への取り組みとして、インテルは単に高性能なプロセッサを提供するのではなく、プロセッサが用いられるデバイスで確実に必要とされる機能、すなわちセキュリティ機能を、プロセッサとセットとなるソフトウェアやサービスとして提供しようとしています。
そしてこれによって、プロセッサだけしか提供しないだろう多くの競合他社との差別化を図ろうとするのが同社の戦略であるようです。
マカフィーはアンチウイルスソフトウェアとして知られていますが、その製品ラインナップの中には、キャリア向けセキュリティ対策の「McAfee Mobile Security for Carriers」、デバイス機器メーカー向けの「McAfee Mobile Security for Device Manufacturers」、あるいは企業向けのモバイルセキュリティ対策「McAfee Mobile Security for Enterprise」などを揃えています。
これらのラインナップが、モバイル戦略の柱としてセキュリティを用いるというインテルの思惑にぴったりはまり、今回の買収につながったとみていいのではないでしょうか。
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