マイクロソフトはこんな理由でセールスフォース・ドットコムを訴えている
米国の日付で先週の火曜日5月18日に、マイクロソフトがセールスフォース・ドットコムを特許侵害で提訴したというニュースが報道されています(米マイクロソフトのプレスリリース)。
- Microsoft、Salesforce.comを特許侵害で提訴 - ITmedia エンタープライズ
- マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムを特許侵害で提訴:ニュース - CNET Japan
- マイクロソフト、セールスフォースを提訴―― 9件の“コア・テクノロジー”の特許を侵害したとして : 訴訟/知財問題 - Computerworld.jp
それぞれの報道を読んでも、マイクロソフトがどのような理由で提訴したのか具体的な内容は伝えられていません。しかし、公開されている訴状を見ると、マイクロソフトは以下の9つの特許についての侵害を訴えていることが分かります。
以下、訴状の中からそれぞれの特許のタイトルを列挙します。
マイクロソフトが特許侵害を主張する9つの特許
1.“Method and system for mapping between logical data and physical data,”
論理データと物理データ間のマッピングのためのシステムと方法論2.“System and method for providing and displaying a web page having an embedded menu,”
組み込みメニューを備えたWebページの提供と表示のためのシステムと方法論3.“Method and system for stacking toolbars in a computer display,”
コンピュータディスプレイ上のスタッキングツールバーのためのシステムと方法論4.“Automated web site creation using template driven generation of active server page applications,”
アクティブサーバページアプリケーションのテンプレートドリブンな生成を用いたWebサイトの自動生成5.“Aggregation of system settings into objects,”
オブジェクト中のシステムセッティングの集約6.“Timing and velocity control for displaying graphical information,”
グラフィカルな情報表示のためのタイミングと速度のコントロール7.“Timing and velocity control for displaying graphical information,”
注:訴状の中で6と7は同一のタイトルが付いていますが、6は2003年4月1日発行のPatent No. 6,542,164、7は2001年8月28日発行のPatent No. 6,281,879とされています。8.“Method and system for identifying and obtaining computer software from a remote computer,”
リモートコンピュータからのコンピュータソフトウェアの特定と取得のシステムと方法論9.“System and method for controlling access to data entities in a computer network,”
コンピュータネットワーク内にあるデータエンティティへのアクセスのコントロールのシステムと方法論
タイトルだけを見ると、非常に汎用的で広い範囲をカバーするような特許のように思えますが、実際にどれだけの制約条件などが記述されているのかは、個別の特許文書を見なければ分かりません。しかし、9つもの特許侵害がカバーする範囲はそれなりに広いと考えられるため、もしかしたらセールスフォース・ドットコムだけではなく、今後他のSaaSベンダーも特許の対象になるかもしれません。
もしもある程度広い範囲をカバーするマイクロソフトの特許が有効だと判断された場合には、今後のSaaSベンダーの展開にも影響が出ることは十分考えられます。しかしその場合には広すぎる解釈によってクラウドやSaaS進歩が妨げられるようなことになる心配もありそうです。
セールスフォース・ドットコムがこれを受けてどのような主張を展開するのか、そしてマイクロソフトが主張する特許がどこまで広く認められるのかが今後の焦点です。
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