アマゾンが日本にデータセンターを設置するとすれば、都心に設置する。ただし利用価格は高めか?
Amazonクラウドのデータセンターは現在、米国とヨーロッパに設置されていますが、今年上半期にはシンガポールに、そして下半期にはもう1カ所アジア地域のほかの場所に設置される予定になっています。
アジアのもう1カ所が日本になるかどうかは明言されていませんが、昨年末にはAmazonクラウドの日本法人が設立され、先月には公式日本ユーザー会も発足したことを考慮すると、日本は設置場所の有力候補です。
設置するとすれば都内に
そのデータセンターの設置について、2月にAmazonクラウドのエバンジェリスト Jeff Barr氏にインタビューする機会があり、いくつかのヒントを得ることができました。インタビューの全文は、数日前に発行された翔泳社の雑誌「IT Initiative」最新号に掲載されています(書店では売っておらず無料で送付される雑誌ですので、興味のある方は申し込んでみてください)。
インタビューの中から、日本でのデータセンターの設置の予定に関する部分を引用します。Barr氏は、データセンターを東京に置くのなら都心に、と答えてくれました。
「私もいろいろな顧客と話をすることで多くのことを学びました。例えば、東京にデータセンターを開設することになれば、東京に置くことよって遅延を非常に小さくすることを考えています」
これは、「東京といいながらどこか離れた場所に設置するのではなく、都心に設置する」ということを言っています。それによってレイテンシを低く抑えるという面を最大限に活かす考えのようです。
と同時に、データセンターの利用価格について柔軟性を持たせるつもりであることも次のように述べています。
「今後、時間の経過とともにAWS(Amazon Web Services)は多くの地域にデータセンターを広げていくことになると思います。そのときには、地域ごとの運用コストに応じた価格設定をしていくでしょう。(略)少々コストが高くてもレイテンシを重視して近郊のデータセンターを選ぶか、それともバッチ処理のようにレイテンシを気にしない処理は、地域に関係なく低コストのデータセンターを選ぶか、といったことができるようになると思います。」
Amazonクラウドの利用料金は、既存の米国と欧州の3カ所のデータセンターですでに料金が異なっていますので、この発言はある意味当然のことでもあります。もしも東京にデータセンターが設置された場合、規模や運用コストから考えて、利用料金は現在の米国や欧州のデータセンターよりやや割高に設定されそうです。
Amazonクラウドのデータセンターが日本国内に設置されるようになれば、日本円で決済可能な新しい料金表も合わせて発表されるのでしょう。
国内競合他社の価格設定はどうなる?
ところで、Amazonクラウドが国内に設置され、国内向けのやや割高な料金設定が発表されたとき、日本国内で似たようなクラウドサービスを提供している競合ベンダはどうするでしょう?
というのも、国内の競合ベンダの現在の価格は、どうも現行のAmazonクラウドの価格を意識して設定したものが多いように見受けられるためです。しかしデータセンターの規模や運用の効率性を考えると、国内のクラウドベンダーが米国や欧州で超大規模な運用をしているAmazonクラウドと価格で競り合うのは実は苦しいはず。
もしもAmazonクラウド東京データセンターの価格が発表され、それがある程度割高になっていたとしたら、そのあとには国内クラウドベンダーからも、それに合わせた価格変更が徐々に行われていくのかもしれません。