オラクルユーザーはプライベートクラウドのPaaSに注目。しかしアナリストは「プライベートクラウドは失敗する」と予想
44%の企業がプライベートクラウドを保有もしくは検討しており、今後12カ月でプライベートクラウドの利用は飛躍的に拡大するだろう。オラクルのユーザーグループ「IOUG」が267のITマネージャーやITプロフェッショナルを対象とした調査によると、このようにプライベートクラウドに対して多くの企業が前向きな姿勢であることが分かりました。
一方で、フォレスターリサーチのアナリストJames Staten氏は、ZDNetに掲載したブログのエントリ「Cloud predictions for 2011: Gains from early experiences come alive」で、プライベートクラウドは構築されるだろうが、その後失敗するだろう、と予想しています。
それぞれをもう少し見てみましょう。
オラクルユーザーはプライベートクラウドによるPaaSに注目
IOUGの調査「2010 IOUG Cloud Computing Survey」(pdf)によると、調査対象となった267のうち、44%がプライベートクラウドを保有もしくはパイロットテスト中、もしくは検討しており、現時点でも37%が社内のITリソースの少なくとも一部がプライベートクラウドによって提供されていると回答。一方でパブリッククラウドの利用は14%にとどまるそうです。
そしてプライベートクラウドの採用は今後12カ月で飛躍的に拡大すると予想され、来年にはプライベートクラウドでの提供が前述の37%から50%になるとしています。
また、プライベートクラウドの実装としてはIaaSよりもデータベースやアプリケーションサーバをミドルウェアとしたPaaSに強い注目が集まっているとのこと。
なぜ企業がプライベートクラウドに注目し続けるか。その理由として、セキュリティがあがっています。
However, security issues continue to be a concern with use of public cloud and online application services, making private clouds a more attractive option to enterprises.
セキュリティは引き続きパブリッククラウドとオンラインアプリケーションサービスの懸念材料であり、それがプライベートクラウドを企業にとって魅力的な選択肢としている。
この調査結果を見ると、プライベートクラウドのためのソフトウェアとハードウェアの提供にフォーカスしているオラクルの戦略と見事に一致している点に、ちょっとできすぎな気がしないでもありません。とはいえ、パブリッククラウドの利用よりもプライベートクラウドの構築にフォーカスしている企業の存在が浮き彫りになっている点で興味深い結果といえます。
プライベートクラウドで早く失敗し、早く学習するべき
一方で、「Your will build a private cloud and it will fail」(あなたの組織はプライベートクラウドを構築し、そしてそれは失敗するだろう)と2011年に向けた不吉な予想を、ZDNetのブログ「Cloud predictions for 2011: Gains from early experiences come alive」でしているのが、フォレスターリサーチのアナリストJames Staten氏。
ただしStaten氏は、この失敗は悪い失敗ではないと書いています。というのも、この失敗からクラウド環境に何が必要かが学べるためで、早いうちに失敗し早く学習することがクラウド戦略に必要だと説いています。
Staten氏の2011年の予想では、ホステッドプライベートクラウド(つまりバーチャルプライベートクラウドのようなものでしょう)の方がプライベートクラウドへの早道であり、こちらの選択を勧めると同時に、業界内の企業が共同で構築するコミュニティクラウドが登場すると予想しています。