NoSQLからは離脱する、CouchDB
「Moving Away from NoSQL」(NoSQLからは離脱する)というブログをポストしたのは、CouchDBの開発元、CouchOneのエンジニアMikeal Rogers氏。
「Apache CouchDB」は、NoSQLの1つとして知られていたオープンソースのデータベース。ドキュメント指向で、JSONによるデータの入出力を行うのが特徴です(参考:“動物図鑑”で知るCouchDBの特徴 - @IT)。
なぜCouchOneは「NoSQL」から離脱する、というのでしょうか?
NoSQLはすべてをひとかたまりに表してしまう
その理由として、NoSQLがあまりにも包括的なこと、そしてBigDataと結びつき始めていることをあげています。
The term “NoSQL” continues to lump all the companies together and drowns out the real differences in the problems we try to tackle and the challenges we face. It has also become synonymous with “Big Data”
「NoSQL」という言葉は、すべての企業をひとかたまりにしてしまい、私たちが解決しようとしている課題といった、それぞれの本質的な違いを押し流してしまうのです。また、「BigData」という言葉と同義語としても用いられるようになってきています。
NoSQLとして知られるソフトウェア、例えばCassandra、BigTable、SimpleDB、Hadoopなどの多くは、キーバリュー型データストアです。しかしそのほかにもMongoDBやCouchDBのようなドキュメント指向のものや、カラムナデータベースなどもあります。「NoSQL」という言葉は、こうした違いを見えにくくしてしまう点を指摘しているわけです。
と同時に、NoSQLの主流であるキーバリュー型データストアは、大規模データ処理、いわゆるBig Dataのソリューションとして取り上げられることが多いため、NoSQLがBig Dataに結びついていることもあると。
そこでCouchOneは、NoSQLという名称からは離脱する、と宣言したとのことです。
we started to move away from the “NoSQL” moniker.
私たちは「NoSQL」という俗称からは離脱を始めることにした。
NoSQLという用語が登場したときから……
NoSQLという用語は、その発端からずっと適切な用語かどうかについての議論が続いていました。以下の記事ではその経緯を紹介しています。
それでもほかによい代替案がないために、NoSQLという言葉が使い続けられてきたというのが現状だったわけです。
そうした現状に対し、メジャーなNoSQLの開発元であるCouchOneがあらためて異議を唱えたということになります。果たしてここから、NoSQLという言葉は下火になり、「キーバリュー型データストア」や「ドキュメント指向データベース」といった、それぞれの特徴を示した用語の利用が増えるのか、それとも引き続き「NoSQL」という用語が使われ続けていくのでしょうか。
おそらく、NoSQLという言葉はまだしばらく使い続けられるのだと予想します。というのも、キーバリュー型データストア、ドキュメント指向データベース、カラムナデータベースなど、現在ではさまざまな新しい形のデータベースが開発され、注目され始めています。それぞれをいちいち分類する言葉よりも、NoSQLという言葉を使ってしまう方があまりにも便利だからです。
Publickeyとしては引き続きSQL以外のデータベースを表す包括的な用語として「NoSQL」を使い続け、記事の本文でそれぞれのデータベース(やデータストア)の特徴をそのつど説明していくつもりです。