開発中のMySQL 5.5、デフォルトエンジンはInnoDB、200%の性能向上。「MySQL Conference & Expo」基調講演で紹介
オープンソースのデータベースとして人気のある「MySQL」。現在開発中のバージョン5.5で何が変わるのか? 米国サンタクララで開催中の「MySQL Conference & Expo」基調講演で紹介されました。
MySQL 5.5でのデフォルトストレージエンジンはInnoDBで、性能向上やリカバリタイムの短縮などを実現。可用性とスケーラビリティを提供する「MySQL Cluster 7.1」では、1秒以下のフェイルオーバーや自己修復機能などを備えると行った機能が搭載されるといった強化が行われるとのこと。
日本時間で昨晩、4月13日深夜行われた基調講演の模様を、ストリーミング中継された内容を基に紹介しましょう。
MySQL 5.5は速くなった!
基調講演に登場したのはオラクルのEdward Screven氏。今回の基調講演はオラクル買収後初めてのもの。オラクルがMySQLにコミットしていることをコミュニティに伝える大事な機会となります。
振り返れば、1年前のMySQL Conference開催前日にオラクルがサン・マイクロシステムズの買収を発表。当時の会場はその話題でもちきりだったと伝えられています。
ここからはScreven氏の発言。
オラクルにとってMySQLをはじめとするオープンソースは顧客にソリューションを提供する点で重要である。
そして今後もMySQLに投資し、Webアプリケーションのためのナンバーワンデータベースであり続けること、今後も技術リソースを投入し、有償サポートも提供し続けること、そしてGPLライセンスを適用した無料のコミュニティエディションの継続を約束する。
開発中の最新バージョン、MySQL 5.5の紹介。バージョン5.4以後はInnoDBがデフォルトのストレージエンジンとなっている。ACIDトランザクションは当然サポート、外部キー、よりよいロッキング、クラッシュリカバリにかかる時間は10倍以上改善された。
Semi-Synchronous Replication、Replication Heartbeatなどで可用性も向上。
とにかくMySQL 5.5は速くなった!
ベンチマークを見ると、5.1と比較してリード性能が200%向上。
リード/ライトを総合的にベンチマークしたところ364%の性能向上を実現。
「MySQL Workbench 5.2」では、SQLエディタ、オブジェクトマネジメント、コネクションマネジメントなどの管理機能が充実し、ビジュアルなデータモデリングまでできるようになる。
そして「MySQL Cluster 7.1」ではキャリアグレードのファイブナイン(99.999%)にあたる可用性を実現。1秒以下のフェイルオーバーと自己修復リカバリ機能、オンラインスケーリングやメンテナンスなどの機能を実現する。
商用版では、さらに強化された「MySQL Enterprise」、モニタリングサービス、24時間365日のサポートも提供。
強化機能の1つ、「MySQL Enterprise Backup」。オンラインのままノンブロックでバックアップとリカバリが可能。論理バックアップと物理バックアップ。フルバックアップとインクリメンタルバックアップなど。
「MySQL Enterprise Monitor」では、複数のMySQLサーバをこの画面からすべて管理。ネット上のMySQLサーバやトポロジを自動発見。
MySQL 5.5の機能については、MySQLのブログにも「Introduction to MySQL 5.5」として4月13日付けで記事がポストされています。また、MySQL 5.5は「MySQL Downloads」のページからそれぞれのプロダクトのリンクをたどることでダウンロード可能になっています。
オラクルがロードマップを示したことに意義
実はこの基調講演の内容は、昨年のMySQL Conference & Expoの基調講演とそれほど変わっていません。昨年の基調講演でも、MySQL 5.4でデフォルトエンジンがInnoDBとなり、5.1と比較して大きく性能が向上したこと、MySQL Clusterで可用性の向上が可能になったことなどが紹介されています。
今年はそれがMySQL 5.5に変わったわけですが、もっとも大事だったのは最新バージョンの内容ではなく、MySQLのイベントの基調講演という場でオラクルがMySQLにコミットし、今後の強化方針を明らかにしたことだったのではないでしょうか。
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