JavaScriptが第一級のプログラミング言語へ、分散バージョン管理にも注目が集まる
モデリングやオブジェクト指向などのソフトウェア技術などで知られるマーチン・ファウラー氏が所属するThoughtWorks社。同社が現在の技術のトレンドについて分析したホワイトペーパー「Technology Radar 2010」(PDF)がinfoQの記事「最近のテクノロジにおけるトレンドは?」で紹介されていました。
このホワイトペーパーでは、現在どの技術分野がホットなのか興味深い分析がならんでいます。ツールとプログラミング言語の2つの分野を取り上げて紹介しましょう。
分散バージョン管理と次世代テストツールに注目
分析結果はレーダーチャートのような図で表され、いちばん内側が「Adopt(受容)」で、外側にいくほど「Traial(試験)」、「Assess(要調査)」、「Hold(保留)」といった状態を示しています。
まずはツールの分野のチャートを見てみましょう。
内側の点から見ていくと、Internet Explorer 6がツールとして寿命を迎えていることは衆目の一致するところでしょう。一方で、バージョン管理ツールのSubversionが後退し、それと入れ替わるように分散バージョン管理(Distributed version control)が前進しています。ホワイトペーパーでも「GitやMercurialといった分散バージョン管理はこの数年で大きな注目を集め始めており、地域的に分散した環境でのバージョン管理を求めるエンタープライズ市場での推進役となっている」と書いています。
もう1つ急速に内側に向かって前進しているのが次世代テストツール(Next-gen test tools)。ホワイトペーパーでは特にRubyコミュニティから登場したrspecとCucumberの名前を挙げています。そのほか、多言語開発環境(Polyglot dev environment)、Google Waveなども急速に内側に向かっています。
JavaScriptが第一級のプログラミング言語へ
続いてはプログラミング言語のチャートです。
JavaScriptがほとんど外宇宙から第一級のプログラミングへとまっしぐらに進んでくるのがこの分野でもっとも注目すべきトレンドであることは間違いなさそうです。ホワイトペーパーでは「1995年に登場したものの、jQueryやPrototypeなどのライブラリが登場したのはこの2~3年のこと。開発者はリッチなWebアプリケーションを開発するために今後さらにJavaScriptを活用していくことでしょう」と書いています。
もう1つ中心に向かっているのがJavaの寿命です。まだAssessの段階ではありますが、「Javaの進化は緩慢になっています。新しいバージョンの登場にはほとんど3年近く待たされています」とホワイトペーパでは書いていますが、一方でJava VMの上で動作する新しい言語、Groovy、JRuby、Scala、Clojureなどが新しいイノベーションとなりそうだとも記しています。
ホワイトペーパーではこのほか、プラットフォーム、テクニックの分野についても分析を行っています。