不景気で資格取得に向かうITエンジニア、最近の人気はVMware認定プロフェッショナル

2010年3月3日

今回は久しぶりにゲストブロガーをお迎えしました。ゲストブロガーとして記事を書いていただいたのは加山恵美さんです。加山さんはPublickey初登場ですが、@ITでデータベース関連の記事やITエンジニアのスキルアップなどに関する記事などを多く書いているフリーランスライター。

加山さんが取材の中で仕入れた興味深い話を、記事として発表できる場としてPublickeyを指名していただき、今回の掲載となりました。ブログに記事を書くことはライターとしての実験的な意味合いもあると聞いています(今回はノーギャラですけどね:-)。

ゲストブロガーの投稿には、僕も読者と一緒になって読めるという楽しみがあります。では、以下から始まる加山さんの記事を一緒に楽しみましょう。

不況だが資格試験の受験者は減っていない

2008年秋のリーマンショック以降、突然の不況でプロジェクトが頓挫したという話はたまに耳にします。そのおかげで図らずも時間に余裕ができてしまったエンジニアもでているのだとか。不景気で、企業も採用の門を固く閉ざしてしまいました。そうなると、今いる会社から転職したくても当分は動けない状況です。

そんななか、静かに個人で資格取得に励むITエンジニアが増えているそうです。

ITの資格試験に詳しいある企業のマネージャーによると、リーマンショック後もIT資格試験の受験者数は減っていないそうです。それどころかさらに興味深いことに、これまで企業や学校が買っていたバウチャー(受験のための前売り券のようなもの)は減る傾向にあるけれど、それ以上に個人の申し込みが伸びて、トータルでは試験の受験者数が伸びているとのこと。これはつまり、自腹で資格試験を受けるエンジニアが増えているということを意味しています。

受験者数の伸びが個人のITエンジニアの支出で支えられているのは興味深いことです。

その理由はいくつか考えられます。

給料を増やすための投資

まず端的に言うとお金です。IT企業なら、資格を取得すると合格一時金あるいは資格手当を支給する制度を多くの企業が持っています。資格に挑戦するなら教材費や受験勉強で多少の支出は免れませんが、合格すればある程度はモトがとれますし、それ以上の利益も見込めます。定期昇給は期待できず、不景気で転職もままならない現在、資格試験に合格することは確実に収入を増やす・得るための1つの手段です。

またエンジニアとしての評価を高めることもできます。社内の評価だけではなく将来転職するときにも有利となるでしょう。名刺に取得した資格のロゴを並べれば、顧客からも一目置かれますし、自信につながることもあります。エンジニアにとって技術力の証明は、業務のためだけではなく自分自身のキャリアにとって重要であり、受験費はそのための投資とも言えます。

人気が高まっているのはVMware認定プロフェッショナル

前述のマネージャ氏に、最近人気が高まっている資格はあるかと訊くと、VMware 認定プロフェッショナル(VCP)の受験者が急速に伸びているそうです。クラウドを背景に仮想化技術の要請が高まっているためでしょう。2009年10月末時点で日本のVCP取得者数は1800人と多くはありませんが、世界ではすでに3万9000人もVCP取得者がいるそうです。

しかし日本の「VCP取得者1800人」は少ない数字です。例えばLPICでは2010年1月末時点で世界全体の認定者が8万人、日本の認定者は4万6千人です。ほかのグローバル試験でも日本人が2~3割を占める場合があります。なのにVCPではまだ日本の取得者数が5%に満たないというのは、この分野では日本の取得者が少ないと言っていいのではないでしょうか。

取得者数が少ない理由は、もしかしたらまだVCPの認知度が高くないことと、vSphereに対応するVCP4の試験が日本語に未対応だったということもあるかもしれません。しかし2010年1月27日からVCP4の日本語試験がリリースされるようになりました。

今後は日本でも急速にVCPの資格取得者が増える可能性がありそうです。

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Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
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