アップルの方針転換でiPhoneでのFlash変換アプリ復活へ、アドビの株価も急上昇
アップルは9月9日、iOSのデベロッパー規約を見直し、サードパーティ製のツールで開発されたアプリケーションの規制を緩和すると発表しました(参考:Apple、iPhoneアプリ開発ツールの制限を緩和 アプリ審査基準も公開 - ITmedia News)。
Flashアプリケーションからの変換も利用可能に
アドビシステムズはこれを受けて、FlashベースのアプリケーションをiPhoneアプリケーションに変換すつツール「Packager for iPhone」の開発再開を表明しています。
同社のAdobe Featured Blogsにポストされたエントリ「Great News for Developers」では、次のように記されています。
The feature is available for developers to use today in Flash Professional CS5, and we will now resume development work on this feature for future releases.
この機能(Packager for iPhone)はFlash Professiona CS5で現在利用可能で、そして私たちはこの機能について将来のリリースのために開発を再開するつもりです。
Packager for iPhoneで開発されたiPhoneアプリケーションは、アップルが今年2010年4月9日に発表した「iPhone OS 4 SDK」の規約の「アプリケーションはObjective-C/C/C++あるいはJavaScriptで記述しなければならない」という制限によって事実上利用不可能になっていました。
ブログMacお宝鑑定団Blog[羅針盤]のエントリ「Appleの方針変更により、Adobe Flash Professional CS5の「Packager for iPhone」で作成されたiPhoneアプリが復活」によると、App Storeにはこれまでずっとレビュー中で放置されていたとみられるPackager for iPhoneによって開発されたiPhoneアプリが一斉に公開され始めていると報告されており、Packeger for iPhoneの利用が間違いなく解禁されたことが分かります。
アドビの株価も急上昇中
このニュースを受けて、ニューヨーク株式市場ではアドビシステムズの株価が1割以上上昇し、前日比で12.1%上昇、3.55ドル高の32.86ドルで通常取引を終えたと日本経済新聞(電子版)で報じられています。
アドビシステムズはFlashを、スマートフォン、セットトップボックス、PCといったあらゆるプラットフォームをカバーするソフトウェアプラットフォームとして位置づけていました。しかしこれまで、そのスマートフォンで大きなシェアを握るiPhone/iPad/iPodでの利用が規制されていることがFlashの将来性に疑問符を与える大きな要素となっていました。
Flashはいまソーシャルゲームのプラットフォームとして脚光を浴びていると先日の記事「シリコンバレーでFlashプログラマの給与が急騰中」で伝えましたが、今回のアップルの方針転換によりFlashは新たな勢いを得ることになることは間違いありません。
しかしアドビシステムズやFlashのデベロッパーはアップルの方針に振り回されてきたともいえ、今後もアップルの方針がふたたび転換される可能性はつねに存在します。アドビシステムズがPackager for iPhoneにどこまでふたたび本気で開発リソースを投入するのか、まだ慎重な姿勢が続くかもしれません。
2010/9/10追記: fladdict氏が、Packager for iPhoneの今後について「すぐには Flash for iPhone復活という流れはないと思われる」と、冷静かつ優れた分析をされていますので紹介します。