アドビ「iPadでFlashアプリを動かす」デモを公開。マルチプラットフォーム対応をアピール
アップルはiPod Touch、iPhone、iPadなどでFlashをサポートしない方針を貫いています。しかしアドビシステムズは昨年行われたイベント MAX 2009で、FlashアプリケーションをiPhone、iPod Touch対応アプリケーションに変換する機能を発表。新製品となるFlash Professional CS5に搭載すると宣言しました(CS5は米国で4月12日にローンチ予定)。
これによりFlashは一夜にしてiPod、iPadの開発環境となりました。
(追記:上記の機能は、iPadリリース直後に行われたアップルの規約変更により使用不可となりました。
しかしその5カ月後の2010年9月に規約は見直され、再び可能になっています。
追記ここまで)
FlashアプリケーションをiPadで実行
そしてアップルから注目の新製品iPadが発売された当日、アドビは早速、Flashで作ったアプリケーションがiPadで動作するデモをビデオで公開しました。
Adobe AIRのプロダクトマネージャ Christian Cantrell氏は、AIRのアプリケーション(中味はFlash)」として開発されたオセロゲーム(iReverse)が、以下の5つのプラットフォームで動作する様子を自身のブログのエントリ「One Application, Five Screens (Including the iPad)」で紹介しています。
- MacOS
- Windows
- Linux(Ubuntu)
- Android(Motorola Droid)
- iPhone/iPod Touch
- iPad
MacOSからAndroidまではそのままAIRアプリケーションとして実行し、iPhone/iPod TouchそしてiPadでは、Flashアプリケーションを変換する「Packager for iPhone」で変換したものを実行しています。
Cantrell氏はこの5つの環境に対応したアプリケーションが、まったく同一のコードから生成されたことをブログで強調。
the exact same code base is used to build versions for five different environments.
アドビはこのデモにより、SilverlightもHTML5も実現できていない、PCからモバイルに渡る幅広いプラットフォームへの対応を示しました。以下は、デモビデオから各プラットフォームでの動作の様子を紹介します(ビデオはこの記事のいちばん最後に掲載しました)。
敵はマイクロソフトとグーグル
現在、PCやモバイルデバイスでのアプリケーションのプラットフォームの主役はOSです。アプリケーションはWindowsやMacOSやAndroidなどのOSをターゲットに開発されていますが、アプリケーションプラットフォームは徐々にOSからクライアントミドルウェアともいうべき存在へとシフトしています。
そのクライアントミドルウェアに相当するのが、アドビのAIRやFlashであり、マイクロソフトのSilverlightであり、そしてグーグルが開発中のWebブラウザをOS化したChromeOSだといえます。その予想は、昨年12月に公開した以下の記事で詳しく書きました。
AIR/Flashアプリケーションを5つのプラットフォームで動作させたCantrell氏は、ブログに次のように書いています。
There's no other platform in the world that can boast this level of flexibility — not even close.
これほどのフレキシビリティを誇るプラットフォームは世界のどこにもない。近いものすらない。
たしかにAIR/Flashはモバイル対応でSilverlightに先行し、機能の面でWebブラウザ/HTML5に先行しているといえます。しかしライバルはあのマイクロソフトとグーグルです。アドビはまだまだ油断できないでしょう。
(追記4/10:アップルはiPhone OS 4のSDK 規約で開発言語などを限定することにより、アドビのFlashアプリケーションを変換したものの実行を事実上封じようとしていると報道されています)