次世代Webブラウザに「Do Not Track」機能搭載へ
米国などには、わずらわしい勧誘電話から一般消費者を守るために「Do Not Callレジストリ」があり、このレジストリに登録された電話番号には一切の勧誘電話が禁止されています(日本にもぜひほしい制度ですね)。
米FTCはこの「Do Not Callレジストリ」と同様に、オンラインでも消費者を守るため「Do Not Track」システムの提案を行っています。現在、多くのWebサイトが何らかの手段で利用者のオンライン上の行動を追跡し把握しようとしていますが、そうした追跡を消費者自身で制御可能にすることで、消費者のプライバシーを守ろうという趣旨です。
この「Do Not Tarck」機能をマイクロソフトとモジラがそれぞれ、現在開発中のWebブラウザの最新版で実装する見通しです。
追記(12/24):Firefox 4ではDo Not Track機能は実装されないとMozillaから公式の連絡をいただきました。またそのように報道されてもいます。本記事ではFirefox 4にDo Not Track機能が実装される見通しを書きましたが、お詫びして訂正させていただきます。本文を修正し、またタイトルも変更しました。モジラの意見を要約すると「Firefoxではつねにプライバシーを重要な機能としてきており、すでに制御機能を内蔵し、多くのアドオンもある。しかしDo Not TrackはWebにおけるプライバシーを包括的に見直そうというものであり、この機能はFirefox 4では搭載されないが、関連団体と議論を進めていく」というものです。
マイクロソフトもモジラも追跡拒否機能を実装へ
「Do Not Tarck」は、「Do Not Call」と違いレジストリに登録するのではなく、Webブラウザ上で消費者自身が履歴の収集を許可するかどうかを簡単に選択できるシステムとして提案されており、そしてそれをシンプルで分かりやすい手段で提供するべきとされています。
そしてマイクロソフトはInternet Explorer 9で「Tracking Protection」という機能を提供。12月7日付けのIE9ブログにポストされたエントリ「IE9 and Privacy: Introducing Tracking Protection」によると、「Tracking Protection Lists」に追加したWebサイトからの行動追跡を拒否することができるようです。
一般に最近のWebサイトでは、1つのWebページであってもバナーやウィジェットなど複数のWebサイトから提供される部品が埋め込んであることがほとんどであり、こうしたバナーやウィジェットなどのサードパーティによるトラッキングも行われています。「Tracking Protection」機能はこうしたケースも対象にしています。
(ただしこれがFTCの提案を想定して作られたものなのか、たまたまFTCのタイミングと重なったのかは不明です)
モジラのFirefox 4でも、このIE9の「Do Not Track」と同様の機能が実装される予定だと早くも報道されています。
今年の4月には、「楽天ad4U」によるCSSの機能を悪用して履歴を取得する機能がブラウザ側で対策され無効になるなど、企業側の行動追跡の努力とプライバシー保護はぶつかり合ってきました。今回のFTCの提案とその実装が広がることで、ネット上の消費者保護に一定の落としどころが見えてくるでしょうか。