IE9に対して「Canvasをフルサポートしてくれ」という草の根キャンペーン開始
マイクロソフトは現在開発中のInternet Explorer 9で、HTML5などの標準に準拠することを明らかにしています。しかし現在開発者向けに公開されているInternet Explorer 9 Platform Previewでは、HTML5のCanvasタグがまだサポートされていません。
そこでマイクロソフトに対して「Canvasタグをフルサポートしてくれ」と草の根で訴えているのが「The Internet Explorer 9 HTML5 Canvas Campaign 」です。
HTML5対応チェックでまだ160点中19点
キャンペーンのページでは「The HTML5 test」というサイトが紹介されています。これは表題通りWebブラウザのHTML5対応度を測ることができるWebサイト。160点満点で、Webブラウザごとに以下の得点を現在のところ獲得しているとキャンペーンサイトに記述されています。
- Firefox 3.6 : 101点
- Chrome 4.1 : 118点
- Safari 4 : 115点
- Opera 10 : 102点
- Internet Explorer 8 : 19点
- Internet Exploerer 9 PP : 19点
これを示した上で「Internet Explorer 9はまだHTML5をサポートしていないではないか!」というのがキャンペーンの主旨。そして読者にこのキャンペーンに参加して、HTML5のサポートを訴えようと呼びかけています。
Canvasはサポートされるはずだ
Internet Explorer 9 Platform PreviewでCanvasがサポートされていないことについては僕も気になっていました。実はこの件については、@ITに書いた記事「HTML5が拓く新しいWeb(7. マイクロソフト編)」の中で、マイクロソフトディベロップメントのWindows 開発統括部プログラムマネージャー 五寳匡郎氏にインタビューして聞いています。その部分を引用しましょう。
――― Platform PreviewにはHTML5のCanvasは入っていませんでしたね?
五寳 Web標準やインターオペラビリティに関して「この機能は外せないでしょう」と多くの人が考えているものに関しては、多分外さないと信じていただいていいと思います。そうでないと、われわれがいっていたインターオペラビリティに関して根本から崩れてしまうことになりますので。
五寳氏は「Canvasを実装します」と明言していませんが、これは実装するかどうか曖昧にしたいのではなく、マイクロソフト社内で情報が厳しく統制されており、今後の実装計画などについて明言することが許されていないからではないかと推測されます(五寳氏はすごく言いたそうな様子でした :-)。
Canvasが実装されていないのは、例えばSilverlightと競合するからなどの理由があって外れているわけではない、ということも確認できました。
これを含め、Internet Explorer 9の発表にまつわるマイクロソフト関係者の発言や情報を総合すると、Internet Explorer 9でCanvasタグがいずれ実装されるだけでなく、HTML5の機能を可能な限りマイクロソフトが実装し、おそらくさまざまなテストツールにおいて他のWebブラウザとひけをとらないレベルまで仕上げてくることは間違いないだろうと、僕はいまのところ考えています。
しかし今回のキャンペーンのように利用者、開発者の声をはっきりとベンダに届けることは大事なことです。それがインターネットをオープンにし、1つの標準のうえでWebを進化させ、環境が異なっても情報やアプリケーションを共有でき、ベンダにロックインされず、さまざまな選択肢を実現することになるからです。ぜひマイクロソフトからはキャンペーンに対するポジティブな反応を期待しています。