IBMは企業向けのTwitter開発中、ソーシャルと業務を結びつける「Project Vulcan」
IBMがフロリダで開催中のイベント「Lotusphere 20101」では、同社の戦略的な新しいコラボレーションツール「Project Vulcan」が発表されました。その画面はまるでTwitterです。あるいは、Facebookやセールスフォース・ドットコムが昨年秋に発表した「Salesforce Chatter」にも近いものがあります(Salesforce Chatterの画面をこの記事の後半に掲載しました)。
IBMのプレスリリース「IBM Unveils a New Vision for Collaboration for a Smarter Planet」では、Vulcanを次のように説明しています。
IBM Project Vulcan enables breakthrough approaches to reduce personal information overload and improve business agility,
IBMのProject Vulcanは、個人にとって処理しきれなくなっている大量の情報を削減し、迅速なビジネスを実現するための画期的なアプローチを実現します。
そして、クラウドとオンプレミス、業務アプリケーションとソーシャルアプリケーション、デスクトップやノートPC、モバイルデバイスなどをこのアプリケーションで集約できるとしています。
IBMでLotus Software部門のディレクター、Ed Brill氏は、自身のブログでProject Vulcanを説明したエントリ「Lotusphere 2010: IBM Project Vulcan」をポストし、Vulcanの重要なテーマの1つが、ソーシャルアナリティクスとビジネスアナリティクスを結び、それを業務的なシナリオに適応することだ、と書いています。
One of its key themes is social analytics and business analytics combined and applied to industry-specific scenarios
Project Vulcanのベータ公開は今年後半になる予定。海外のメディアも速報としてProject Vulcanを報じています。
- IBM's 'Project Vulcan' sneak peeks Lotus Notes future • The Register
- IBM's Project Vulcan: The Next Generation of Lotus Notes and a Rival To Google Wave - ReadWriteEnterprise
- IBM Project Vulcan Manages Social Info Overload - Messaging and Collaboration from eWeek
ソーシャルツールがマッシュアップの起点となる
1つ前の記事「企業向けのGoogle Wave対抗「12sprints」を開発中、SAP」では、SAPが企業向けのGoogle Wave対抗製品として開発中のコラボレーションツール「12sprints」を紹介しました。
昨年11月には、セールスフォース・ドットコムが企業内コラボレーションツールとしてSalesfoce Chatterを発表しています(参考:クラウドで先頭を走るセールスフォースが「過去最大のブレークスルー」を発表。Dreamforce 2009)。
SAP、セールスフォース・ドットコム、そしてIBMの3社に共通するのは、TwitterやFacebookやGoogle Waveのようなタイムライン、あるいはストリームを持つソーシャルツールを新しいコラボレーションインフラとして位置づけ、その中に業務アプリケーションをマッシュアップすることで、ソーシャルと業務アプリケーションの連係を実現しようとしている点です。
1つ前の記事ではSAPの戦略ついて次のように書きました。
これまで業務アプリケーションというのは、専用のアプリケーションを立ち上げてその中で使うものでした。しかし、これからはそういった業務アプリケーションの中で閉じているのではなく、コラボレーションツールや意志決定アプリケーションと連係し、経理部門や経営会議などの限られた場面ではなく、社内のさまざまな意志決定に貢献するためのものになる。そうしたビジョンを同社は描いているのでしょう。
しかしこれは同社に限ったことではないようです。今年後半にはSAP、IBMのアプリケーションも(ベータ版かもしれませんが)具体的に試せるようになるでしょう。もしかしたらその頃には、また別のベンダからも似たようなアプローチの製品が登場するかもしれません。