米IBM Research、光接続によるチップ間の超高速通信デバイスを発表

2010年3月4日

米IBM Researchは、銅線による電気的なチップ間の接続を光パルスによる接続に置き換えるための大きな一歩となる「Nanophotonic Avalanche Photodetector」デバイスについて、科学雑誌「ネイチャー」で明らかにしたと発表しました

このデバイスは40Gbpsの超高速、従来の20分の1の少消費電力でチップ間の通信を可能にし、今後のチップ間接続技術を大きく前進させるものとされています。

fig チップ間を光接続する「Nanophotonic Avalanche Photodetector」のイメージ

IBMの説明によると、「Nanophotonic Avalanche Photodetector」は、現在のチップを構成しているゲルマニウムが持つ「Avalanche Effect」(雪崩効果)を応用したもの。雪崩が、最初は小さな雪の粒が落ちていくごとに周囲を巻き込んで大きな雪崩へと発展していくのに似て、小さな光パルスの入力が大きな信号へと雪崩のように発展していく効果。しかしこれまでは雪崩の速度が遅かったため、高速な光パルスの通信デバイスとしては使えなかったとのことです。

IBMが開発したデバイスはこのAvalanche Effectを高速化し、数十ナノメーターという小さな範囲で発生させることを実現したため、ノイズも半分以下に抑えられたとのこと。

IBMリサーチの科学者でありバイスプレジデントのT.C. Chen博士は「この発明は、オンチップの光接続を実現に近づけるものになる」とコメントしています。「光接続機能をプロセッサに内蔵することで、低消費電力でかつExaFlop(1018Flopのこと、ちなみにGigaFlopが109Flop)レベルのコンピュータの実現もそう遠くなくなるだろう」(Chen博士)。

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