HTML5の先、HTML.nextを議論し始めたW3C
W3Cは11月1日から5日まで、フランスのリヨンで行われていたTPAC2010(Technical Plenary / Advisory Committee Meetings Week)の中で、HTML5のさらに先のバージョンにあたるものをHTML.nextとして議論をしていたと、マイクロソフトのIEBlogのエントリ「Standardizing HTML6 through the W3C – My Trip to TPAC 2010」が伝えています。
HTML.nextについてのディスカッション
HTML.nextがテーマになったのは、3日目に行われたTechnical Plenary Dayの3番目のセッション。Technical Plenaryとは、ワーキンググループの垣根を越えて幅広い話題についてディスカッションをする場です。
このセッションでは、マイクロソフトのPatrick Dengler氏やアドビシステムズのLarry Masinter氏など4人が登壇し、パネルディスカッションを行った模様。
パネルディスカッションに際し、登壇者によるプレゼンテーション資料が公開されています。
- マイクロソフト Patrick Dengler氏「HTML6: HTML + SVG + CSS」
- アドビシステムズ Larry Masinter氏「HTML6: Core Web Standards: Renewed Perspectives」
Patrick Dangler氏のプレゼンテーションでは、HTML5やSVGやCSSやそのほかのさまざまなワーキンググループがサイロ化され、それぞれが仕様を決めていったため、整合性が問題となり、また統合して使う際にも課題が残り、それぞれの領域の境界にもあいまいさが残ると指摘。特に組み合わせて使うことが増えたHTMLとSVGの統合などを呼びかけています。
一方でアドビのLarry Masinter氏は(個人的な意見との前置きのうえ)、ハイクオリティな出版とオーサリングの提供という視点で、課題や選択肢を提示しています。
HTML5は来年のラストコールに向けて具体的に動き始ており、HTML5に関する機能追加や変更の議論が収束に向かっています。このタイミングでHTML5の次、HTML.nextの議論がはじまるのは妥当といえるのかもしれません(参考:HTML5がラストコール(最終草案)へ、工程表を発表)。
そしてこうした議論を経て徐々にHTML.nextの方向性などが固まってきたら、ワーキンググループやドラフト作成へと入り、さらに具体的な議論へと進んでいき、Webを進化させていくための具体的な仕様策定へと進むことになるのでしょう。
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