シスコ、HPとの決裂をYouTubeで発表! パートナー契約を更新しないと声明
シスコシステムズが昨年サーバ市場への参入を発表したことは、同社のパートナーでありサーバ市場の主要ベンダでもあったヒューレット・パッカードとの決裂を予想させるものでした。そしてその予想通り、シスコ自身は先週、ヒューレット・パッカードとの決裂を明らかにしました。
同社のワールドワイドでアライアンスを担当するKeith Goodwin氏が、YouTubeで「ヒューレット・パッカードとのパートナー契約を更新しない」とする声明を発表しています(この記事の最後に動画を掲載しました)。同社がサーバ市場を本気で取りに行くことをはっきりと示すために、あえてYouTubeで声明を発したものと思われます。
シスコ、EMC、ヴイエムウェア vs HP、マイクロソフト
シスコはサーバ市場への参入に続き、EMC、ヴイエムウェアとの「VCE」アライアンスを構築。3社が持つサーバ、ストレージ、ネットワークのハードウェアコンポーネントと仮想化ソフトウェアを密接に組み合わせた「Vblock Infrastructure」の提供を発表しました。
次世代のコンピューティング環境では仮想化が重要なカギとなり、それに最適化したハードウェアインフラストラクチャを提供することでプライベートクラウド、パブリッククラウドを構築するためのキープレイヤーになるというのが3社の目論見です。
一方でヒューレット・パッカードはそれに対抗するべく、ネットワークベンダの3COMを買収、また同社が仮想化ソフトウェアの主要パートナーとしていたヴイエムウェアとの関係を見直し、Hyper-Vを提供するマイクロソフトとの大規模な提携を発表しています。
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2010年をもってシステムインテグレーション契約を更新せず
YouTubeで発表した声明の中で、ワールドワイドのパートナーアライアンスを担当するKeith Goodwin氏は、次のように発言しています。
「変化こそがIT業界で変わらないことだ。データセンターの仮想化やクラウドの登場で、ネットワークの役割は重要性を増している」
「シスコのビジネスの80%はパートナーが関わっており、われわれはパートナーとの関係がつねにシスコのビジョンに基づくように見直し続けている。しかし、ここ数年で、ヒューレット・パッカードは、パートナーから異なるビジョンを持つ企業となっていった」
「そこで、ヒューレット・パッカードとは2010年の契約終了をもってシステムインテグレーション契約を更新せず、パートナー契約を終了することになった。ヒューレット・パッカードは認定チャネルパートナーでも、グローバルサービスアライアンスパートナーでもなくなる」
2週間ほど前に書いた記事「サーバは「単体」から「群体」へと進化中 - Publickey」で考察したように、いまサーバは仮想化機能を取り込んで新たな形態へと進化しているように思えます。シスコはヒューレット・パッカードと決裂してでも、その新たなサーバ形態でのリーダーシップを取りに行った、ということなのでしょう。
そしてYouTubeでそれを公開することで、パートナーに対してもその決意をはっきり示したかった、ということなのではないかと想像します。
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