Hadoop、セキュリティ強化でKerberos実装中
Hadoopには現在、企業などで利用する際にはセキュリティ面での不安があり、そのための改良に取り組んでいます。Yahoo!のHadoop Developmentチームに所属するOwen O'Malley氏による、現在どのような仕組みでHadoopのセキュリティを強化しようとしているのかを説明するプレゼンテーションが「Hadoop User Group March Meeting Recap」のページで公開されています。
Kerberosでシングルサインオンを実現
プレゼンテーションの主なポイントを紹介します。
今回の主たる目的は、「認証されていないユーザーがHDFSにアクセスできないようにすること」となっています。
現在のHadoopには、NameNodeやJobTracker、DataNodeなどでのユーザー認証がないことがセキュリティ上の課題になっていると指摘。
認証システムにはKerberosを用いたシングルサインオンを採用。
この実装後、Hadoopに残る主なセキュリティ上の課題は通信の暗号化とディスク上のデータの暗号化。しかしこれらについてはそれほどプライオリティが高くない様子。
企業向け利用がさらに広まるか
Hadoopはもともとグーグルが開発したMapReduceと呼ばれる大規模分散処理の方法を基に、オープンソースとして開発されたソフトウェアです。そのため、当初はYahoo!やFacebookなどの大規模サイトを運用している企業が大量のログ解析などに用いていました。日本でも楽天が利用していると報道されています。
最近では、一般の企業でも徐々にデータウェアハウスやBusiness Inteligenceの現場で利用される事例が登場してきています。@ITの先月の記事「DWHからHadoop移行で成功事例、欧州広告企業」では、広告企業での利用が紹介されています。
今回のセキュリティの強化だけでなく、周辺のツールを含めたHadoopの使い勝手は徐々に高まってきており、Clouderaのように導入しやすいようなディストリビューションの提供や、Amazonクラウドのようにクラウドでのサービスも始まっています。国内でも導入支援を行うSIerが登場してきており、今後Hadoopの企業での利用はますます増えることが期待できます。
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