[速報]Google I/Oで発表された4つのポイント:VP8オープンソース化/Chrome Web Store/VMwareとの協業/Google App Engine for Business
グーグルは5月19日(現地時間)、米サンフランシスコで開発者向けのイベント「Google I/O」を開催。HTML5を中心としたオープンスタンダードをベースとしたアプリケーションの本格展開と、同社のクラウドをエンタープライズ向けのプラットフォームとするための発表を行いました。1日目の基調講演では次の要旨が語られました。
- HTML5が本格的な普及の時期にさしかかろうとしている
- 動画コーデックのVP8をオープンソース化する
- Webアプリケーションのマーケットを展開する
- VMwareと協業し、Javaアプリケーションのクラウドポータビリティを実現する
- ビジネス向けGoogle App Engineを展開する
ここでは2時間を超える基調講演の中から、発表のポイントに絞って内容を紹介しましょう。
基調講演のダイジェスト
Google I/O 1日目の基調講演、登場したのはエンジニアリング部門のバイスプレジデントVic Gundotra氏。昨年のGoogle I/O以来、HTML5への注目が非常に高まっている。そして、WebアプリケーションはデスクトップアプリケーションでできることをHTML5によってすべてできるようになる。まだ実現には遠いが、そうした方向に向かっている。
■発表その1:WebMプロジェクト
昨年買収したOn2 Technologiesが保有する動画コーデック「VP8」のオープンソース化。ロイヤリティフリーで高精細な動画コーデックとし、音声コーデックのVorbisと合わせて「WebM」と呼ぶオープンなメディアフォーマットを推進する。モジラ、オペラもWebMをサポートする。
WebMプロジェクトは、ソフトウェアベンダだけでなく多くのハードウェアベンダもサポートしている。
(基調講演でのWebMの詳細は、記事「グーグルによるVP8のオープンソース化、アドビがFlashでサポート表明! モジラ、オペラもサポートへ」に書きましたのでご覧ください)
■発表その2:Chrome Web Store
デベロッパーが開発したWebアプリケーションを発見してもらう場所として、そしてデベロッパーがマネタイズする場所として「Chrome Web Store」を展開する。アプリケーションを購入すると自動的にインストールされ、すぐに利用できる。オープンスタンダードな技術をベースにしているため、Chrome以外のモダンブラウザでも利用可能に。
NaCLで開発され、Webブラウザ上で高速に動作するゲームなどもラインナップに予定されている。リッチな3D画面のLEGO STAR WARSゲーム。
■発表その3:VMwareとの協業
なんとVMwareのポール・マリッツ氏登場。昨年末からグーグルと議論を深め、クラウドベースのアプリケーションの開発について協業することとなった。SpringフレームワークとGoogle Web Toolkitにより、エンタープライズ向けJavaデベロッパーにとってクラウドポータブルな開発環境を実現する。
Spring Rooはバックエンドのためのフレームワーク、GWTはフロントエンドのためのフレームワーク、この2つのインテグレーションを行う。早速行ったデモでは、Rooでデータ構造を定義すると、それに合わせてユーザーインターフェイスまで用意されたスカッフォルド(アプリケーションの骨組み)ができあがった。
(基調講演でのVMwareとの協業の詳細は、記事「グーグルとVMwareが、クラウドとオンプレミスのJava互換実行環境を実現。SpringとGWTの統合ツールも提供」に書きましたのでご覧ください)
■発表その4:Google App Engine for Business
企業の課題を解決するために開発されたクラウド「Google App Engine for Business」を発表する。セキュリティポリシーなどを設定できるコンソール、プロフェッショナルサポート、企業向けSLA、SQLデータベースの提供、シンプルな価格体系が特徴。
価格体系は非常にシンプル。これ以外にかかる料金はない。
(基調講演で行われたGoogle App Engine for Business発表の詳細は、記事「Google App EngineがSQLデータベースをサポートへ。エンタープライズ向けサービスを拡充」に書きましたのでご覧ください)
基調講演はここまで。
2つの大きなサプライズは、VMwareとの協業、SQLデータベースの提供
基調講演の前半、VP8のオープンソース化は以前から予測されており、またマーケットプレイスの展開も他社の動向からして予想された動きだったといえます。
しかし後半、まさかGoogle I/OでVMwareのポール・マリッツ氏が登場するとはまったく予想外でした。そしてSQLデータベースの提供も大きなサプライズです。と同時に、グーグルがこれほどストレートにGoogle App Engineを本格的なビジネスプラットフォームに変えてくることも予想外でした。いままでエンタープライズ分野では他社と比べると控えめな存在だったGoogle App Engineですが、今回の発表でどこまで巻き返しが図れるのか非常に楽しみになってきました。
あわせて読みたい
グーグルによるVP8のオープンソース化、アドビがFlashでサポート表明! モジラ、オペラもサポートへ
≪前の記事
MySQLに自動フェイルオーバー機能を追加したAmazonクラウド。オンラインのままパッチ当てやバックアップも