技術評論社のクラウド技術誌「G-CLOUD magazine」創刊。Amazon EC2とEucalyptusを重点解説
技術評論社から「G-CLOUD magazine」が出版されました。特集記事は、Amazon Web ServicesとEucalyptus、そしてIIJ GIOからForce.com、Windows Azureまでカバーしています。
ただし誌名にmagazineとついていますが月刊誌ではありません。ムック(雑誌形式の書籍)のようで、次号は未定。それなら日経BPの「みてわかるクラウドマガジン」が4月に出ているので、うたい文句の「唯一のクラウド技術誌」は違うのでは? と思いつつ、手に取ってみました。
Eucalyptusをじっくりと解説しているのが最大の特徴
第1特集は、Amazonクラウドの入門記事。Amazonクラウドの最近の動向やユーザーグループのJAWS-UGの紹介を導入部として、Amazonクラウドのインスタンスや課金モデルなどのおもな機能の紹介、操作方法などを紹介します。
その後、オートスケール機能の活用方法、ストレージ機能の1つであるEBSの使い方について詳しい解説があり、最後はJavaからAPIを通じてAmazonクラウドの機能を操作する「AWS SDK for Java」を使ったプログラミング解説です。前半の入門記事に比べ、後半の記事から急にマニアック度が上がる感じがします。
第2特集の「Eucalyptus」解説は、このG-Cloud magazineをもっとも特長づけている記事。Amazon EC2互換のプライベートクラウドを構築するためのオープンソースソフトウェア「Eucalyptus」を、40ページに渡って基礎から構築方法、実際のクラウド的な利用方までじっくりと解説してくれます。
インストールや基本的な操作方法は、画面やコマンドラインの内容を豊富に使った丁寧なもので、このあたりの作りは技術評論社ならでは。Software Designの特集を読んでいるかのような気もします。オープンソースのEucalyptusはまだ進化の途中であるため、最新バージョンでの情報をじっくり読むためには本紙のような雑誌形式はぴったりでしょう。
Eucalyptusにはまだ日本語で読める書籍もありませんし、まとまったEucalyptusの解説を読みたい人には本誌は「買い」です。
第3特集では、日本発のクラウド「IIJ GIO」の設定方法や事例解説があり、そのあとはセールスフォース・ドットコムのForce.comや、マイクロソフトのWindows Azureの解説があります。
こうしてみると、本誌はAmazon EC2、Eucalyptus、IIJ GIOと、IaaSを中心とした解説にもっとも多くのボリュームを割き、続いてPaaSとしてのForce.comやWindows Azureについての解説を加えている、というおおまかな構成が見えてきます。こうしたクラウドインフラのレイヤに興味を持つエンジニアの方におすすめです。特に前述したようにEucalyptusの解説は一読の価値があると思います。
以下が目次です。
▼特集1 徹底解説!Amazon Web Services WebエンジニアのためのAWSガイド
▼特集2 オープンソースクラウドを作ろう Eucalyptusでクラウド環境を構築
▽Force.comにおける開発動向とその可能性 ▽クラウド時代のITセキュリティ戦略
▼特集3 日本のクラウド、IIJ GIOの実力を探る
▼特集4 Hadoop&Cassandra入門
▼特集5 Visual Studio 2010開発講座、Windows Azureの世界
Amazon Web Servicesなどの海外のクラウド技術、Eucalyptusによるオープンクラウド、IIJ GIOをはじめとした国内の最新技術などについて解説
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