[速報]オラクルがクラウド対応の「Fusion Applications」披露。独自Linux Kernelも。Oracle OpenWorld 2010
今日9月20日(現地時間9月19日)、サンフランシスコで行われているOracle OpenWorldで基調講演に立ったエリソン氏は、クラウドに対応したハードウェア、ソフトウェアの製品を発表しました。
前の記事では基調講演の前半、「Exalogic Elastic Cloud」について取り上げました。この記事では基調講演の後半、「Unbreakable Enterprise Kernel」と「Fusion Applications」紹介の模様をお届けします。
オラクルに最適化されたLinux Kernelを提供する
エリソン氏。Exalogicでは、SolarisとLinuxの2つのOSをサポートしている。
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Oracle Linuxは4年前のOracle OpenWorldで発表した、Oracle用のエンタープライズ向けに最適化したRed Hat Enterprise Linux互換のディストリビューション。5000以上のカスタマに利用されており、オラクルのLinuxプラットフォームだ。
Oracle LinuxはそのままRed Hat Enterprise Linux対応のアプリケーションが動作し、これまでRed Hatとの互換性に関するバグがみつかったことはない。
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しかしRed Hatはオラクル製品でのリリーステストはしていない。そうしたテストは私たちが行い、何か問題があれば私たちが見つける。それで問題はないのだが、それをRed Hatが反映するプロセスに時間がかかっている。私たちが顧客のためにバグを修正してもすぐに反映されないのだ。
また、私たちは(Linuxソースコードの)メインラインに対して多くの拡張を行っており、顧客はその利用を待っている。Red Hatはコミュニティに対して4年は遅れたリリースになっている。これは最新のハイエンドマシンでLinuxを使おうとするときに問題となる。
そこでオラクルは「Unbreakable Enterprise Kernel」を発表する。これはオラクルによって最適化され、高速かつ最新で安定したカーネルだ。Linuxでオラクルのソフトウェアを実行するときには、このカーネルの利用を推奨する。
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ベンチマークをとると、Red Hatよりも数段高速になっている。
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私たちは長期的にRed Hat互換のLinux(Oracle Linux)は維持する。これはコミットしていることだ。しかし顧客へのオプションとして、Unbreakable Enterprise Kernelも選べるようにする。オラクルを走らせるならば、こちらを強く推奨する。
クラウドに対応した業務アプリイート「Fusion Applications」
これまでの業務アプリケーションは、どれも独自のミドルウェアの上で動作していた。SiebelもJD Edwardsもそうだった。重複した努力が社内で行われてた。そこで5年以上かけて、私たちはSiebel、PeopleSoftなどの最高の機能を、最新のミドルウェアの上に実装しなおした。
業務アプリケーションスイートの「Fusion Applications」は、(オラクルのミドルウェアスイートである)Fusion Middlewareの上で100%動作する。
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Fusion Applicationsはクラウド対応(クラウドレディ)だ。私たちのマシンでも、データセンターでも、ファイアウォールの内側のプライベートクラウドでも、パブリッククラウドでも動く。
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プロプライエタリなミドルウェアを使ったERPはもう古い。そして、SAPもSalesforceもどれも独自の言語を用いている。私たちのFusion Applicationsには独自言語はない。SOAに対応しJavaによって構築されているのだ。
最初のバージョンで予定している機能は、会計、人事、セールス&マーケティング、サプライチェーン、プロジェクト管理、調達、GRCなどだ。
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来年の第1四半期に出荷予定であり、100以上のモジュールを同時にリリースする予定だ。これはオラクルの歴史上最大のリリースとなる。
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いまオラクルの業務アプリケーションを利用しているユーザーは、Fusion Applicationsに移行せず、そのまま使い続けることもできるし、Fusion Applicationsと既存のアプリケーションの共存もできる。もちろん、すべてをFusion Applicationsにすることもできる。
ソーシャル機能が組み込まれている
Fusion Applicationsは、ビジネスインテリジェンス指向を原則にして開発された業務アプリケーションだ。ログインすると、何をするべきか、どう実行するべきか、だれとコンタクトするべきか、といったことが分かり、コラボレーション機能もビルトインされている。いままでの「これが注文フォームです」といったERPとは違う。
デモンストレーションでセールスダッシュボード画面を見てみよう。売り上げ状況のグラフ(左上)や顧客ごとのステータス(右上)がある。
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左下にはアクティビティストリームがある。これは顧客のステータスがアップデートされたといったビジネスアクションがツイッターのように表示される。
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エリソン氏は3日後に再び登場予定
エリソン氏の基調講演は、Exalogic Elastic Cloud、Unbreakable Enterprise Kernel、そしてFusion Applicationsなど、矢継ぎ早に多くの情報が登場するものとなりました。それぞれの詳細については、明日からの基調講演でさらに詳しく紹介されることになっています。
エリソン氏は22日水曜日(日本時間23日)の基調講演に再び登場し、おそらくFusion Applicationsの詳細についてさらに踏み込んで紹介するものと思われます。
基調講演の模様が8分間のダイジェストで公開されています。
Oarcle OpenWorld 2010/JavaOne 2010関連記事
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