米FTCがクラウドのプライバシー問題について調査中と表明
米連邦取引委員会（FTC）といえば、昨年12月にインテルを独占禁止法違反で訴えたり、グーグルがモバイル広告のAdMobを買収する際に調査を行い、あるいは最近ではブログも含めたメディアでの広告手法について厳しいガイドラインを提案するなど、独占禁止法や消費者保護のための活動を行う政府機関です。
そのFTCが、米連邦通信委員会（FCC）に提出した書類の中で、「クラウドコンピューティングのプライバシー問題について調査中である」ことを明らかにしました。ワシントンの動向などを伝えるメディアThe Hillが、記事「FTC set to examine cloud computing」で伝えています。また、実際に公開されている文書を見ることもできます。
プライバシー情報の転用やアイデンティティ管理を調査
文書の中でFTCは以下のように書いています。
The FTC staff presently is examining "cloud computing" and its privacy and data security implications for consumers.
FTCのスタッフは目下、「クラウドコンピューティング」とそのプライバシー、情報セキュリティの消費者に対する影響について調査中です
その理由として、集められたプライバシー情報が当初の目的以外に使われることを懸念しているとあります。
For example, the ability of cloud computing services to collect and centrally store increasing amounts of consumer data, combined with the ease with which such centrally stored data may be shared with others, create a risk that larger amounts of data may be used by entities in ways not originally intended or understood by consumers.
例えば、消費者の大量のデータを中央に集約できるクラウドコンピューティングの能力は、他者と容易に共有でき、当初の目的や消費者が理解している以外の用途に用いることができるため、大きなリスクとなります。
またFTCはアイデンティティ管理、認証などの信頼性についても懸念しているとのこと。
The FTC also considers identity management, including authentication and credentialing issues, to be a key part of its privacy and data security program.
FTCは認証や証明書などを含むアイデンティティ管理についても、データセキュリティの重要な一部として考慮しています。
少し考えてみれば、この問題はクラウドが登場する以前から、例えばアマゾン、イーベイ、マイスペースなどが登場してきた時点でも十分にあり得たことですが、文中にあるようにクラウドによって大量の情報を容易に収集、処理できる環境が整ってきたことが背景にあるのでしょう。
そしてFTCの調査の結果によっては、広告に対するガイドラインが公開されたように、もしかしたら何らかのクラウド周りのセキュリティやプライバシーに関するガイドラインのようなものが提案されるのかもしれません。
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