シリコンバレーでFlashプログラマの給与が急騰中
8月26日付けのウォールストリートジャーナルに、シリコンバレーでFlashプログラマの給与が急騰しているという記事「Flash Back: Demand Up in Engineering Specialty」が掲載されています。
フルタイムのFlashエンジニアなら年収15万ドル(1ドル90円で約1350万円)にも上るとのこと。
Top full-time Flash engineers can now command more than $150,000 a year in salary, says Stuart Liroff, a headhunter at GreeneSearch recruiting firm.
3年前のFlashエンジニアの年収は5万ドルから8万ドルだったとのことで、2倍から3倍に上昇したことになります。
That compares with $50,000 to $80,000 a year three years ago, several entrepreneurs say.
なぜ突然にFlashエンジニアの年収が急騰したのか? 理由はソーシャルゲームのスタートアップ企業が数多く立ち上がっており、それらのゲームの多くがFlashで作られているから、だそうです。記事後半では、Flashエンジニアが足りないためJavaエンジニアにFlashを教育している、という話も語られています。
いま、Webブラウザやスマートフォンなどでソーシャルゲームを開発するなら、現実解はHTML5ではなくてFlashである、ということがこの現象に表れているのでしょう(追記:PCではそうだが、スマートフォンでは事情は違うのでは、というご指摘もいただきました。たしかにそうかもしれないので、ここに追記しておきます)。
そしてもしかしたらこの先もゲームのように、プラットフォーム間での高い互換性や表示速度の管理、画像と音声の同期といった複雑な実装が必要なものには、FlashやSilverlightのようにベンダが1社で実装を行っているプラットフォームの方が有利だといえそうです。
ではSilverlightはどう生き残る?
HTML5のようなマルチメディアを含んだ標準仕様が進化する中で、FlashやSilverlightがどのように生き残っていくのか? マイクロソフトのSilverlightチームは、9月1日付けのブログに「The Future of Silverlight」というエントリをポストして、今後のSilverlightについて説明しています。
そこでSilverlightの使命は、つねにイノベーションをリードすることで、標準仕様であるHTMLをリプレースするものではないと説明。
On the web, the purpose of Silverlight has never been to replace HTML; it's to do the things that HTML (and other technologies) couldn't in a way
その具体例として、高精細ビデオや3Dビデオ、ゲームのような完全にカスタマイズされたWebアプリケーション、強力な統合開発ツールによるビジネスアプリケーションの開発、.NETやC#との連係、などを挙げています。この辺の方向性は、SilverlightもFlashもそれほど変わりませんね。
Flashはこれまで築いてきた普及率の高さとデベロッパーの多さによって、今回のようにソーシャルゲームでのニーズの高まりというチャンスを迎えました。
SilverlightはVisual StudioやExpression Blendといったマイクロソフトの開発ツールや、Windows Azure、Office Web Appsといったクラウドとの連係、そしてWindows Phone 7への対応をどうバネにしていくかがポイントとなるでしょう。
あわせて読みたい
マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Online Services」が一時ダウン、そして今日もダウン
≪前の記事
書籍「Googleクラウドの核心」、いずれクラウドでソフトウェアを開発する人に