Flashのエヴァンジェリスト、マイクロソフトへの転職を語る
マイクロソフトの情報サイト「Channel9」で、1月18日付けで公開されたビデオ「Silverlight TV Episode 2: Perspectives on Flash and Silverlight」に登場した、SilverlightプリンシパルエヴァンジェリストのMike Downey氏(写真左)。
彼はFlashの開発元であるマクロメディアがアドビシステムズに買収される以前の2000年から2009年まで、Silverlightの最大のライバルであるFlashに関わっており、Flashのシニアプロダクトマネージャであり、Flashエバンジェリストでもありました。
しかし2009年7月に、アドビシステムズからマイクロソフトに転職。ビデオの中ではマイクロソフト社員として、FlashとSilverlightについて比較しつつ、自分自身の転職についても語っています。
なぜFlashからSilverlightに変わったのか?
なぜDowney氏はFlashからSilverlightへ、アドビからマイクロソフトへと移ったのでしょうか。ビデオの中で彼自身が次のように語っています。
We just released silverlight3, I wached it at MIX09. I wasn't an employee yet. I got really excited about what showned there, kind of a turning point for silverlight. I was really blowend away at MIX09.
マイクロソフトがSilverlight 3をリリースしたばかりのイベントMIX09。そのとき私はまだマイクロソフト社員ではなかったけれども、そこで見たものは非常に刺激的で、Silverlightにとってターニングポイントでした。まったく圧倒されました。
After I went MIX. I started digg more into Microsoft platform, understanding technology better. I was really excited what's going on and direction that silverlight platform going on. So I started advising our client on really taking seriousely. Ultimately that let me to woking at Microsoft!
MIXのあと、私はマイクロソフトのプラットフォームについて詳しく知るための調査を始めました。そしてそこで起きていること、Silverlightが目指しているものに興奮しました。私は顧客たちに真剣にアドバイスを始めたのですが、最終的にはマイクロソフトで働くことになってしまいましたね。
Downey氏はマイクロソフトに転職したことを自身のブログでも詳細に書いています。そのエントリ「I've joined Microsoft」の最後のセクション「It's not a zero-sum game」に、彼はこう書いています。
We all know that web technologies evolve quickly - particularly in the RIA space. I want to continue to be a part of that and I feel that Microsoft is in the best position to take things to the next level.
だれもがWebテクノロジーの進化がとても速いことを知っています、とりわけRIAの領域では。私はつねにその一部でありたいと考え、そしてマイクロソフトは次のレベルに進むために最良の場所だと感じたのです。
このエントリには現在93件のコメントがついていますが、ざっと見たところほとんどが「転職おめでとう!」という暖かい内容で、彼を取り巻いてきたコミュニティの良さを感じました。
プラットフォーム争奪戦
Publickeyで1カ月前に掲載した以下の2本の記事では、PCからモバイルに至るシームレスなプラットフォームの標準をめぐって、Flash、Silverliht、そしてGoogle ChromeやFirefox、OperaといったさまざまなWebブラウザたちが競争を繰り広げている、と書きました。
少し大口を叩けば、そろそろ従来のOSがプラットフォームの主役だった時代は終わり、その上のレイヤであるミドルウェアがプラットフォームとしての主役の座をかけて戦っている、しかもそのプラットフォームはPCからモバイルまでをカバーする強力なものになる。と言えます。
このプラットフォームをどれが制するかで、その先10年の勢力図がすっかり変わってしまう可能性のある主導権争いです。ですから、各陣営ともテクノロジーでの競争だけでなく、標準化による主導権を武器にしたり(例えばグーグル)、実装で先行したり(例えばモジラ)、製品ラインナップの強化(例えばマイクロソフト)や提携(例えばアドビのモバイル展開)などなどさまざまな手を使って戦っています。
Downey氏の転職は、各陣営が繰り広げるそうした大きな動向の中で注目すべき1つの事象のように思います。