マイクロソフト、政府専用クラウド「BPOS Federal」を発表。運用担当は身元調査済みの米国市民
米マイクロソフトは2月24日、レドモンドで開催中のイベント「US Public Sector CIO Summit 2010」にて、政府専用クラウドサービス「Business Productivity Online Suite Federal」(BPOS Federal)の提供を開始すると発表しました。
担当者は厳格な身元調査済みの米国市民
BPOS Federalのベースとなっているサービス「Business Porductivity Online Suite」(BPOS)は、同社が昨年から本格的に提供を開始したサービスで、電子メールやスケジューラなどを提供するExchange Online、ポータル、ファイル共有機能などを提供するShare Point Online、Web会議機能などを提供するLive Meetingなどで構成されています。
BPOS Federalは、このBPOSのセキュリティを高めたものです。運用は分離された専用のインフラストラクチャを用いてセキュアに行われ、施設に入るには限られた担当者が生体認証をパスしなければなりません。また担当者は国際武器取引規制に基づき、指紋捺印を含む厳格な身元調査済みの米国市民となっている、と発表されています。
マイクロソフトは今後もさらにセキュリティの強化をすべく、認証や暗号化の強化を進めていく意向も明らかにしました。
また同社はBPOS Federalだけでなく、BPOSのサービス全体でISO 27001、IS2003、SAS 70 Type I and Type IIに適合したことも明らかにし、政府関係者だけでなくBPOSユーザーすべてに対してセキュリティが向上したとしています。
セキュリティの懸念は払拭できるか
米国のオバマ政権は政府のコスト削減策としてクラウドをベースにしたITサービスの調達に力を入れており、そのためのポータルApps.govも立ち上げています(参考:オバマ政権がクラウド調達によるコスト削減策を開始、日本は「霞が関クラウド」のままでいいのか?)。
グーグルは昨年9月の時点でこうした政府の方針に対応すべく、政府専用のサービスを提供するためのクラウドを構築する意向を明らかにしていますが、それが正式に立ち上がったという発表は行われていません。
マイクロソフトの今回のBPOS Federalの立ち上げも、同じく政府のクラウド利用の促進に対応すべく同社が打った大きな一手といえるでしょう。
政府、企業のいずれも、クラウドに対するもっとも大きな懸念の1つがセキュリティに関することです。セキュリティに対して特に厳格な政府がクラウドのセキュリティ対策を認め、利用し始めることはクラウドベンダにとって大きなお墨付きを得ることになります。そのために、今後もより高いセキュリティを目指したクラウドベンダの施策は続くことでしょう。