プラグインは生き残る! ChromeがFlash Playerを統合、アドビはブラウザベンダとプラグインAPIの進化で協力
HTML5のビデオ再生機能やアニメーション、SVGのベクターグラフィック、CSSによる高度なレイアウト機能など、Webブラウザの進化によってこれまでブラウザに追加機能を提供してきたFlashなどのプラグインは徐々に衰退していくと見られていました。
しかし、その推進役であったグーグルと、もっとも普及しているプラグインの1つFlash Playerを提供するアドビによって、プラグインをブラウザの機能拡張として見直す動きが明らかにされました。
アドビ:ブラウザと密に統合された新たなプラグインの実現へ
アドビはブログ「Adobe Flash Player Team Blog」にポストしたエントリ「Improved Flash Player Support in Chrome」で、次のことを明らかにしました。
- グーグルのChromeブラウザに対してFlash Playerの統合度を高めていく
- グーグルやモジラと協力してプラグインAPIを進化させ、OSやブラウザに依存せず、高性能かつセキュアで、ブラウザとのより高い統合度を実現するAPIを開発する
新しいプラグインAPIは「PlatformIndependentNPAPI」と呼ばれ、すでにモジラのWebサイト内にWikiページが設けられています。
グーグル:ChromeブラウザにFlashを統合。インストール不要、自動アップデート
グーグルは「The Chromium Blog」にポストした「Bringing improved support for Adobe Flash Player to Google Chrome」というエントリで、ChromeブラウザにFlash Playerを統合することを明らかにしました。
- Chromeをダウンロードすると最新のFlash Playerが含まれており、インストール不要で利用できる状態になっている
- Chromeの自動アップデート機能によってFlash Playerも自動的にアップデートする。これにより、セキュアな状態を保てる
- 今後のバージョンでは、ChromeのサンドボックスをFlashのコンテンツ用に拡張する
上記を、現在開発中のWindows、Mac、Linux用のChrome 5.0.360.xのバージョンに組み込んだことも明らかにしました。
プラグインはブラウザ拡張モジュールとして生き残れるか
Webブラウザは、Ajaxの登場によってアプリケーションプラットフォームとして注目されて以来、順調にかつ急速にその地位を高めるべく進化をしてきました。HTML5など仕様の進化やJavaScriptの高速化など、このところのWebブラウザをとりまく変化の速さはそれを象徴しています。
その進化は、Webブラウザ自身を拡張していくことですべてをまかなう方向でこれまで進展してきました。HTML5、JavaScript、CSSなどはもとより、ネイティブアプリケーションを実行するためのNaCL、3Dグラフィックス表示のためのWebGLなどがそれに含まれます。
プラグインはそうしたWebブラウザ自身の機能拡張によって廃れていくものと見られていましたが、グーグルとアドビ、そしてモジラが今回提案するのは、ブラウザ自身を標準仕様にとらわれず自由に拡張するモジュールとしてプラグインを見直すものとなりそうです。
たしかに、Webブラウザの機能を拡張するために、標準の策定でも、ブラウザベンダの独自拡張でもなく、サードパーティが拡張する方法というのは、ブラウザの進化を促す意味でも引き続き重要な要素だといえそうです。そして(ちょうど1つ前の記事でOSGiを取り上げたばかりということもあり)、今後機能の追加によって肥大化するブラウザ自身も、将来は機能ごとにモジュール化されていく必要があるのかもしれません。
また1つ、ブラウザのプラットフォームとしての進化を促す新しい、しかも意外な提案が行われたように思います。