「セールスフォースのサーバは全部で3000台」「間違ったクラウドには気をつけろ!」とベニオフ氏

2010年6月24日

セールスフォース・ドットコムのCEO マーク・ベニオフ氏は、約7万7000の顧客が利用する同社のクラウドを構成するサーバが、合計で約3000台であると、6月22日(日本時間で6月22日深夜)に米サンノゼで行われた同社のイベント「Cloudforce 2010」の基調講演で明かしました。

2009年3月に行われたアナリスト向けの情報では、同社が抱えるサーバの合計は約1000台だとされていましたから、この1年で3倍に増えたことになります。

ベニオフ氏は、わずか3000台、しかも半分はディザスタリカバリ用の待機サーバであり、この少ないサーバ台数で7万7000社の顧客が利用するシステムを稼働させている同社クラウドの高い効率性を基調講演で次のように紹介しています。

クラウドなら3000台で数十万台分の働きをする

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「先日、友人でもあるマイクロソフト役員のクレイグ・マンデイと話をしたんだ」

「われわれには7万7000社の顧客がいる。クレイグ、もしもセールスフォースがなかったとしたら、この顧客すべてがアプリケーションを利用し、バックアップをし、ディザスタリカバリなどを行うために、何台くらいサーバを買わなくてはいけないと思う?」

「クレイグは『たぶん何十万台はいるだろう』と答えた。私もそう思う」

「でもみなさん、セールスフォースの3カ所のグローバルデータセンターにあるサーバは、実際には約3000台です。デルのサーバが3000台。しかも半分はディザスタリカバリ用なのでアイドル状態です。すごいと思いませんか?」

「(予想される台数の)わずか3%のサーバで稼働しているのです。これがクラウドコンピューティングというものに一貫する効率性なのです。わずかなサーバで多くのことを実現するのです」

ベニオフ氏はこのように述べて、高い効率性がなければクラウドと呼べないのだ、ということを主張しています。

7万7000社がSFA用途のために2台ずつサーバを買ったとしても15万台近くになる計算ですから、クレイグ・マンデイ氏の「何十万台もいるだろう」という言葉は誇張ではないでしょう。

それをわずか3000台のサーバで実行しているセールスフォースのクラウドの効率性は、同社の競争力の源泉の1つであることは間違いありません。ちなみにベニオフ氏は、サーバの機種が「デルのR900サーバ」であることも明かしています。 Xeonプロセッサを2基搭載するデルのハイエンドサーバのようですね(3000台すべてがこの機種に統一されているわけではないと思いますが)。

間違ったクラウドに気をつけろ! こっそりオラクルを皮肉る

さて、ベニオフ氏の話は続きがあります。

「ソフトウェア企業、ハードウェア企業、ネットワーク企業、あらゆる企業が『うちもクラウドソリューションがあるんだ』と言っている」

「東京でクラウドのイベントがあり、大手企業のブースでもクラウドソリューションを宣伝していた。これはすごいぞと、そのブースに入り、通訳を通して説明してもらったんだ。そのソリューションはどんなものですか? と」

「するとこう言われた。『これです。このラックのコンピュータです。これはクラウドイネーブルであり、これを入れればそのデータセンターがクラウドになるのです』」

「おお、なんてことだ! この業界には何かが起きている。注意しなければならない何かが起きている!」

「間違ったクラウドが、はびころうとしている」こう言いながらベニオフ氏はこのスライドを聴衆に見せます。

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「実際に見たんだ! 3%の効率性もないものが『クラウドコンピューティング』だと言って売られていることを!」

ベニオフ氏はこう言って、なんでもかんでもクラウドだという風潮を皮肉ってみせました。

クラウドの定義は種々あり、効率性が高くなければクラウドと言えないというのはあくまでセールスフォースが考えるクラウドの定義ではあります(もちろん、クラウドにとって効率性が高いことは望ましいことではありますが)。ですから必ずしもこの定義が正しいとは思いませんが、あらゆるベンダが何でもかんでも「クラウド」だと言ってしまうこの状況を皮肉として表現したい気持ちはよく分かります。

ところで、ここで引き合いに出されたのは、誰がどう見てもオラクルのExadataなのですが(ロゴは隠してありますが、筐体にそう書いてありますしね)、ベニオフ氏はオラクル出身ですし、セールスフォースとオラクルは決して仲が悪いわけではないので、こんな皮肉を言っても問題になりそうにない相手としてあえてオラクルを選んだのではないでしょうか。

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昨年の時点で全サーバが1000台と伝えたのはこの記事でした。

セールスフォースのクラウドは「マルチテナントアーキテクチャ」によって高い効率性を実現しています。同社のマルチテナントアーキテクチャとはどういうものかは、次の3本の記事で分析しています。

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