米国政府、「クラウドファースト」のポリシー採用。2012年度のIT予算から
あまりにも多くのITプロジェクトがスケジュールを超過し、予算オーバーとなって困っている。この悩みは一般の企業だけかといえばそうではなく、米国政府でも同じようです。
ホワイトハウスのOffice of Management and Budget Blogに11月19日にポストされたエントリ「Driving IT Reform: An Update」では、米国政府自身がこうした問題に対応すべく、3つの策を立てて対応していくことが表明されています。その対策は一般の企業にも非常に参考になると思われます。ホワイトハウスはどのような対策を表明し、実施していくのか、見ていきましょう。
レビュー、レビュー、そしてクラウドファースト
1つ目の対策は、政府CIOの Vivek Kundra氏が、政府にとって重要度の高いITプロジェクトについて詳細なレビューを行うこととされています。
First, Chief Information Officer Vivek Kundra launched detailed reviews of the highest priority IT projects across the Federal Government;
2つ目は、金融システムの近代化プロジェクトの多くがあまりにもスケジュールと予算超過に陥っているため、新規の作業をすべて停止し、レビューを行ったとのこと。
Second, since far too many financial system modernization projects were running behind schedule and over budget, we halted all new work on those projects pending review and approval by OMB.
これによって一部のプロジェクトをキャンセルしたり、優先順位やプロジェクトのスコープを見直すことで事態を改善したと報告されています。
そして3つ目は、連邦政府のIT調達と利用について基本の戦略の見直し。
Third, we were tasked with developing a new strategy to fundamentally change how the federal government purchases and uses IT.
新たな戦略として、テクノロジーサイクルに合わせる、プロジェクトマネジメントの強化、ITコミュニティとの協調などが記されているのですが、もっとも注目すべきなのがクラウドファーストのポリシーを2012年度の予算プロセスの一部から採用するという点です(下記の強調は新野によるもの)。
We are reducing our data center footprint by 40 percent by 2015 and shifting the agency default approach to IT to a cloud-first policy as part of the 2012 budget process.
2015年までに政府のデータセンターを40%削減し、デフォルトでクラウドを最初の選択肢とすると。
米政府は昨年からクラウドの採用に積極的な姿勢を見せ、実際に政府のWebサイトのいくつかがクラウドへ移行するという実例も登場し始めています。
今回のクラウドファーストのポリシーが打ち出されたことは、パブリッククラウド業者にとって「政府もパブリッククラウドを推進している」という意味で追い風になるでしょう。
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