データセンターの進化を振り返る(日経BPの中田記者が)
マイクロソフトでデータセンターのアーキテクトとして活躍した後、2008年にアマゾンへ移籍して現在はAmazon Web Servicesのバイスプレジデント兼上級エンジニアであるJames Hamilton氏が、マイクロソフト在籍中の2007年に発表したコンテナデータセンターについての論文「Architecture for Modular Data Centers」の日本語訳がITmediaエンタープライズで公開されました。
日経コンピュータでクラウド担当として活躍されている中田敦記者がこの記事に関連して、過去約10年におよぶデータセンター進化の歴史をつぶやいていました。非常に有用なつぶやきだったので、ここで記事としてまとめさせていただきました。
- 労作ですね。 RT @Agile_Cat: コンテナ・データセンターの イ・ロ・ハ by James Hamilton: http://wp.me/pwo1E-LJ
- ただ、2007年1月の論文が2010年1月に日本語版として公開されたのを見て、正直微妙な思いもあるので、RTついでに少し年表つくってみますね
- 【1998年】Google創業。当初から自作サーバー路線だけど、2000年まではECCメモリーすら使っておらず、大変な目に遭う。
- 【2000年ごろ】SunでJVM作ってたUrs Hölzle氏が、Googleとして初めての「エンジニアリング担当副社長」として入社。その他、強者達がゾロゾロGoogleに集まる
- 【2003年】Googleが「コンテナ型データセンター」の特許を取得。この頃のGoogleは、Rackable(現SGI)のサーバーを買ったりしていた模様
- 【2005年秋】Googleが「コンテナ型データセンター」の実運用を開始。自作サーバーには内蔵バッテリーも搭載。UPS(無停止電源装置)は使用せず
- 【2005年~2006年】このころ、Microsoftも何かヤバい事が起きていることに気付き、レイ・オジーを開発のヘッドに据えたり、データセンターの自主開発を始めたりする
- 【2006年11月】Sunが「Black Box」を発表。「世界初」のコンテナ型データセンターと話題になるが、後にメディアもGoogleに出し抜かれたことを知って悔しがることに
- 【2008年12月】Microsoftが「第四世代データセンター構想」を発表。MSでデータセンターの開発に携わっていた偉い人たちが「役目は終わった」とばかりにMSを退社する(含むJames Hamilton氏)
- 【2009年4月】Googleが4年も経ってようやく「2005年からコンテナ使ってました」と明らかに。「ベルギーではチラーレスでPUEは1.1以下」とか言い出す
- 【2007年1月】当時はMicrosoftにいたJames Hamilton氏がコンテナ型データセンターの論文を書く(←2010年1月にITmediaに日本語版が出た)
- 【2007年秋ぐらい】Rackableのコンテナ型データセンター初号機が米Yahoo!本社駐車場に納入される。Hadoopの運用開始。
- 【2008年4月】Microsoftがラスベガスの「Microsoft Management Summit」で「ウチもシカゴでコンテナを使う」と明らかにする http://bit.ly/8LPZ6B
- 【2009年5月】Urs Hölzle氏らが「The Datacenter as a Computer」を刊行。データセンターウォッチャーがワクテカする
- 【2009年7月】MSのシカゴとダブリンのデータセンターが運用開始。同社にとって最初で最後のコンテナ世代データセンター
- 【2009年11月】Microsoftが「第四世代データセンターはコンテナじゃなくてIT PACです」とか言い出す。コンテナ=水冷、IT PAC=空冷、ぐらいの違い
- RT @ichiro_satoh U.HölzleさんはSunではSelfというオブジェクト指向言語のプロジェクトにいたはずで、JVMではないのですが、ただSelfのVMはJVMの実装に影響は与えています。ちなみにSelfはJITを導入したりと実装も斬新でした。
- データセンター省電力化競争は2009年にGoogleとMSがPUE=1.1以下を達成したところで終結して(これ以上削れる部分が無い)、今はサーバー省電力化競争(Microslice Serverなど)かな、という印象です