WordPressをクラウドで動作させたマイクロソフトの狙い
Windows Azure上でSQL Server互換のサービスがどう実装されたのか、に注目したエントリを前回書きましたが、もう1つWindows Azureで大事な発表があったので触れておきたいと思います。
それは、Windows Azure上でPHPが動作するようになる、ということ。その証拠として、Windows Azure上でWordPressを動かす、というデモをマイクロソフトが行いました。WordPressといえば、PHPとMySQLで構築されたオープンソースのブログ用CMS。LAMP環境で動かすのが普通でしょう。
それをマイクロソフトはWindows Azure+PHP+SQL Serverという環境であっさりと動かしてしまいました。
WordPressに代表されるようないわゆるオープンなインターネットアプリケーション、Web 2.0的アプリケーションのほとんどすべてがLAMP(Linux/Apache/MySQL/Perl/PHP)向けに書かれているのは皆さんご存じの通りです。マイクロソフトは、こうしたLAMP向けアプリケーションのデベロッパーになんとか振り向いてもらいたいと思っています。
ほかのクラウド、例えばGoogle App EngineやAmazon Web Servicesは、実はLAMP向けのアプリケーションを移植したくても、クラウドの側にMySQLのようなリレーショナルデータベースもないし、Perl/PHPといったメジャーなスクリプト言語も移植されていません(Amazon EC2で自分で環境を構築すれば別ですが)。
Windows AzureでPHP+SQL Serverが利用でき、WordPressも移植可能だというのは、マイクロソフトにとってLAMPデベロッパーへのアピールになるはず。しかし果たしてLAMP向けアプリケーションを呼び込むことに成功するでしょうか? それは分かりませんが、少なくともマイクロソフトは本気でWindows Azureに、いままでまったく振り向いてくれていないLAMPデベロッパーを呼び込もうとしているようです。
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