WordCamp Tokyo 2009に参加しました。WordPressにもマイクロブログ機能登場!
WordPressのイベント「Word Camp Tokyo 2009」に参加してきました。WordCampは世界中で行われているWordPressユーザーによるイベントで、今回のWordCamp Tokyo 2009も有志の方々によって開催されているようでした。
今回のイベントの目玉は、WordPressの開発者であるMatt Mullenwegの基調講演。Matt氏は初来日です。会場にはざっと見渡して100人以上の方が参加した様子でした。日本でもWordPressの普及が進んでいることを感じさせます。
Matt氏の基調講演は本人の希望で通訳なしで行われました。聞き取りながらとったメモを基にその内容を紹介したいと思います。
WordPressの歴史
- 僕が初めて作ったブログはMovableTypeを使ったものだった。いまみると全然いけてないデザインだった
- MovableTypeは柔軟だし強力で気に入っていた
- 次にb2というツールを使って作った。b2は僕が初めてコントリビュートしたソフトウェア。しかし、メインデベロッパーがいなくなって開発が止まってしまった
- それで自分で作ることにして最初のWordPressのバージョンを公開した。最初のバージョンは誰も使ってくれなかったよ
- それがいまでは世界中でWordCampが開かれるまでになっている
- WordPress自体も3つのメジャーリリースを経てきた
- それにプラグインを使えばほとんど何でもできる
- 会場のみんなはどれくらいプラグインを使っている? (挙手の多数は5個、最大で25個以上)
- 使われているプラグインの平均は5個くらい。僕は2個しか使ってないけど
- WordPressはユーザー・ドリブン・デベロップメントをしてきた。リリースごとにたくさんユーザーテストをした。
- PCにカメラを付けてユーザーにWordPrssを操作してもらい、どこを見ているか、といったテストをたくさんした
これからのWordPress
- WordPress 2.8はいつ出る? それは秘密
- 強化する予定なのは、1)ウィジェット、2)カスタムタクソノミー、3)テーマ、4)より軽く、5)成長
- WordPressを顧客のためや自分のビジネスとして使っている人は? (約半数が挙手)
- WordPrssはCMSとしても使われるようになった
- 例えばフォトログのサイト(スクリーンで見せる)。アップロードされた写真の大きさや色を分析して、それに合わせてページ内の写真枠や背景の色を変えることができる
- BuddyPress(という新機能)は、'Next Big thing'だと思っている
- これはWrodPressをSNSのように使える機能
- ネットでたくさんの情報があふれかえるようになると、大事なのは情報のフィルタリング。最も重要なのは友達によるフィルタリングだ
- P2(これも新機能)、P2はFastBlogginを提供する。
- Twitterはみんな大好きだけど、組織などで利用するにはTwitterでパブリックに発言するわけにもいかない。だから組織内用のTwitterが必要になる
- P2はリアルタイムなコメント機能が特徴。誰かがポストすると、相手の画面でその発言がポップアップする。写真なんかも投稿できる
- 明日公開予定
自由なことが重要
- なぜみんなWordPressにコントリビュートするのだろう? なぜだと思う?
- それはFreedomがあるから。使うのも自由、変更するのも自由、誰とでも共有できる
- WordPressはみんなのもの
質疑応答(たくさんありましたので、その一部)
- WordPressの名前の由来は? 友達(キャサリン? キャロライン?)が「いい名前を思いついた、しかもドメイン名も取れる!」と連絡してきてくれた。最初この名前は不評じゃないかと思っていた。
- どうやってプログラミングなどの技術を覚えたの? 高校生のとき、街のミュージシャンにジャズを習っていたんだけど、レッスン料が高かったので、ホームページを作ってあげる代わりにレッスンをしてもらっていた。そのときはマイクロソフト製品、FrontPageとかを使っていたんだけど、まわりにPCもたくさんあったし、そこから多くを学んだ。それに父親がコンピュータガイでもあるし。
- Automattic社はどうやって儲けているの? 4つの収入源がある。1)WordPress.comの有料プランへのアップグレード、2)広告、3)スパムフィルターAkismetのライセンス。個人には無料だけれど法人利用は有料で、ヤフーなどにライセンスしている。4)VIP。プレミアムホストサービス。これはCNNやNYTなどのブログを1サイト500ドル(?)程度の料金でホスティングしている
- プロジェクト名になぜジャズミュージシャンの名前を? ジャズが好きなこともあるし、リリースごとに合った名前のジャズミュージシャンの名前をみんなで相談して付けている。たとえば2.7はコルトレーンだったけど、このリリースは以前とはかなり違う大きな変化だったので、ジャズの世界でも大きな変革をなしとげたコルトレーンにしたという具合
英語を聞きながらのメモだったので、聞き間違いや誤解などがもしかしたら含まれているかもしれません。気がつかれた方がいらっしゃれば、ぜひご指摘ください。
僕としては、MovableTypeが気に入っていたこと(こう聞こえたんですが、言いましたよね?)、オープンソースとFreedomの重要性を強く訴えたこと、そしてマイクロブログ機能のP2の登場の3点が驚きでした。
マイクロブログ機能については「ネット上のコメントはリアルタイム化していくだろう」と彼なりのビジョンをはっきりと持っているようで、そのビジョンを基に、P2ではチャットのように相手のコメントがリアルタイムにポップアップする機能を実装したとのこと。WordPressも単なるCMSの枠を超えて、ソーシャルなコミュニケーションツールの機能の強化に踏み出したことは重要な変化だと思います。
基調講演に続いて多くの方が登壇し、WordPressの日本語環境の仕組み、携帯端末への対応、プラグインの作り方など、WordCamp Tokyo 2009ではさまざまなセッションが行われました。このイベントでWordPressの国内での盛り上がりがさらに高まりそうです。
関連記事 on Publickey
- Movable TypeとWordPressをレビューしてみて、差異よりも類似性の方が印象的
- WordPressをクラウドで動作させたマイクロソフトの狙い
- WordPress 2.7 ── オープンソースとして開発されているブログ用CMS。軽快な動作で人気上昇中