Web版Office 2010の対応ブラウザはIE、Safari、Firefox。史上最大のJavaScriptアプリに(動画デモ付き)
徐々に姿を現しつつあるマイクロソフトのOffice 2010ですが、もっとも注目されているのはWebブラウザ版のOfficeである「Office Web Applications」でしょう。Office Web Applicationsに含まれるのは、Excel、Word、PowerPoint、OneNoteの4種類が予定されています。
元マイクロソフト社員で著名なブロガーであるRobert Scoble氏は、自身のブログ「Scobleizer」のエントリ「Microsoft's new Office 2010 brings Office back from the dead (tons of videos)」で、このOffice Web Applicationsに関してマイクロソフトでOffice 2010のプロダクトマネージャのChris Bryant氏にインタビューを行った約7分の動画を公開しています。
そのインタビューからポイントとなる点を4つ紹介します。
── Office Web Applicationsをひとことで言うと?
Office 2010の機能を一貫性のある形でできるだけそのままWebへ拡張しようとしている。できるだけ忠実にOfficeドキュメントの変更や保存が可能になる。
── 対応ブラウザは?
Internet Explorer、Safari、Firefox、この3つが動作対象ブラウザ(Top Tier Browser)だ。たぶんこれまでに作られたもっとも大規模なJavaScriptアプリケーション群だろう。
── 利用方法は?
ビジネス向けのOffice Web ApplicationsはSharePointから提供される。コンシューマ版はWindows LiveのLiveSpacesから提供される。
── 複数のユーザーが同時にアクセスしたら?
顧客からのフィードバックを取り入れて、Webアプリケーションごとに異なるストラテジーをとっている。ExcelはWebで複数のユーザーがリアルタイムでコラボレーションできる。WordとPowerPointはクライアント版で共同執筆ができる機能を用意している。
インタビューではっきり確認されたことは、Office Web Applicationsがクロスブラウザ対応であり、しかもActiveXやプラグインなどを全く必要としない純粋なJavaScriptアプリケーションであることです。ビデオ中のデモでもFirefoxとInternet Explorerが使われていました。Bryant氏はインタビューで「probably some of the biggest JavaScript applications ever built」(たぶんこれまでに作られたもっとも大規模なJavaScriptアプリケーション群だろう)とも言っています。
また、Office Web ApplicationsがSharePointから提供されるということは、SharePoint ServerにはOffice Web Applicationsがバンドルされることを意味していることになります。企業内のイントラネットワーク(あるいはオンプレミス)で利用可能な点は、Google Docsに対する大きなアドバンテージになりそうです。
Scoble氏によるインタビュービデオは以下です(約7分)。
ITmediaエンタープライズの記事「Microsoftのオンライン版Office、差別化ポイントは「オンプレミス」」では、Office Web Applicationは、以下の3つのパターンで提供されると報じています。
- Windows Liveで提供する無償版
- Microsoft Online Servicesで提供する有償版
- オンプレミスで提供する有償版
1つ目のWindows Liveでは無償版が提供される予定です。ということは、このバージョンのOffice Web Applicationsでは画面のどこかに広告スペースが設けられる可能性があります。しかしGoogle Docsが広告を表示していないため、対抗上Office Web Applicationsも広告表示はないとも予想できます。
2つ目のMicrosoft Online Servicesは同社が提供している有償のSaaSで、現在はExchange Server機能や電子会議機能などを提供しています。SharePoint Serverの機能も提供しているため、その追加機能もしくはバージョンアップとしてOffice Web Applicationsが利用可能になるのでしょう。
3つめのオンプレミスで提供する有償版が、前述のSharePoint Serverにバンドルされイントラネットで展開できるOffice Web Applicationsに該当するはずです。記事によると「既存の9000万ユーザーのOfficeボリュームライセンス顧客を対象」とするもので、利用にはOfficeを企業内に導入している必要があるようです。
現在のところOffce Web Applicationsの一般に利用可能なバージョンは公開されておらず、米ニューオーリンズで開催中の「Worldwide Partner Conference 2009」の参加者にはテクニカルプレビュープログラムの招待状が配られていると報道されています。
ブログ「All About Microsoft」のエントリ「Microsoft Office Web Apps: No test build until August」によると、テクニカルプレビュー用のビルドは今週後半にならないとできあがらず、また招待ユーザー用のテストビルドは8月まで待つ必要があるとのことです。
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