VB6はどこまで生き延びることができるか?

2009年8月25日

VB マイグレーションセンター

マイクロソフトでVisual Studioのプロダクトマネージャをしている馬田隆明氏のブログで、Visual Basicマイグレーションセンターリニューアルした、という報告がありました。

Visual Basicマイグレーションセンターでは、Visual Basic 6のアプリケーション(およびその開発者)をスムーズにVisual Studioへとマイグレーションするための情報提供を行っているサイトです。成功事例、移行のためのTips、マイグレーションをサポートしてくれるパートナー企業、マイグレーションのためのツールなどの情報が集まっています。

Windows 7でもVB6はサポートされる

Windows Vista®、 Windows Server 2008®、および Windows 7 における Visual Basic 6.0 のサポートについて

そのVB6は、もうすぐ発売が開始されるWindows 7でも問題なく動作することをマイクロソフトが2009年3月6日付けで公開した情報「Windows Vista®、 Windows Server 2008®、および Windows 7 における Visual Basic 6.0 のサポートについて」で明らかにしています。

Visual Basic チームは、Visual Basic 6.0 アプリケーションが Windows Vista と、Windows Server 2008 および Windows 7 でも "そのまま" 動作する互換性を提供することを表明します。

VB6が発売されてからもう10年以上が経ちます。保守のメインストリームフェーズは発売より6年後の2005年3月31日に終了し、その後延長フェーズでのサポートは2008年4月8日まで続き、それも終了しました。そのため、VB6 IDEについては現時点でサポートは完全に終了しているようです。

一方、VB6のランタイムについては、Windows Vista、Windows Server 2008、そしてWindows 7にも同梱されるため、まだサポートは続いているようです(詳細は上記の「Windows Vista®、 Windows Server 2008®、および Windows 7 における Visual Basic 6.0 のサポートについて」とその関連文書を参照してください)。

となると、VB6アプリケーションはまだまだ使われ続けていくのでしょう。

VB6はいつまで使われ続けるのか?

Results of the Visual Basic Survey: Part 2 Visual Basic 6.0 Usage Today

今年の2月に発表された、英国(UK)でのWindowsデベロッパーに対する調査では、87%以上の企業がVB6で作られたアプリケーションを現在もメンテナンスしており、しかもVB6の利用率である86.5%が、VB.NETの利用率である51.9%を上回るという結果が出ています。

日本での現在の調査結果は見つかりませんでしたが、僕が知る範囲でも、新規開発で使われている例はさすがにありませんが、過去にVB6で開発されたパッケージソフトのカスタマイズを案件ごとにVB6で行っているという例はまだ少なくないようです(VB5で開発されたパッケージですらまだ現役で使われているようです)。こうした現状があるからこそ、マイクロソフトはいまだにVBマイグレーションセンターのリニューアルなどに勤めているのでしょう。

僕は、ITにとってもっとも貴重な資源はCPU性能でもメモリでもストレージでも帯域幅でもなく、人間のスキルだとつねづね考えています。サーバやソフトウェアをアップグレードするよりも、人間のスキルをアップグレードすること、適切なスキルを動的に調達すること、などが実はITを実現するうえでいちばん難しい課題なのです。

VB6が10年以上使われ続けていることは、良くも悪くもそれを補強してくれる材料の1つなのではないかと思っています。そしてたぶん、これからまだ10年くらいはVB6のアプリケーションは生き延び続けていくのでしょう。

関連記事 on Publickey

参考記事 on the Web

あわせて読みたい

プログラミング言語 Microsoft




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本