VB6はどこまで生き延びることができるか?
マイクロソフトでVisual Studioのプロダクトマネージャをしている馬田隆明氏のブログで、Visual Basicマイグレーションセンターがリニューアルした、という報告がありました。
Visual Basicマイグレーションセンターでは、Visual Basic 6のアプリケーション(およびその開発者)をスムーズにVisual Studioへとマイグレーションするための情報提供を行っているサイトです。成功事例、移行のためのTips、マイグレーションをサポートしてくれるパートナー企業、マイグレーションのためのツールなどの情報が集まっています。
Windows 7でもVB6はサポートされる
そのVB6は、もうすぐ発売が開始されるWindows 7でも問題なく動作することをマイクロソフトが2009年3月6日付けで公開した情報「Windows Vista®、 Windows Server 2008®、および Windows 7 における Visual Basic 6.0 のサポートについて」で明らかにしています。
Visual Basic チームは、Visual Basic 6.0 アプリケーションが Windows Vista と、Windows Server 2008 および Windows 7 でも "そのまま" 動作する互換性を提供することを表明します。
VB6が発売されてからもう10年以上が経ちます。保守のメインストリームフェーズは発売より6年後の2005年3月31日に終了し、その後延長フェーズでのサポートは2008年4月8日まで続き、それも終了しました。そのため、VB6 IDEについては現時点でサポートは完全に終了しているようです。
一方、VB6のランタイムについては、Windows Vista、Windows Server 2008、そしてWindows 7にも同梱されるため、まだサポートは続いているようです(詳細は上記の「Windows Vista®、 Windows Server 2008®、および Windows 7 における Visual Basic 6.0 のサポートについて」とその関連文書を参照してください)。
となると、VB6アプリケーションはまだまだ使われ続けていくのでしょう。
VB6はいつまで使われ続けるのか?
今年の2月に発表された、英国(UK)でのWindowsデベロッパーに対する調査では、87%以上の企業がVB6で作られたアプリケーションを現在もメンテナンスしており、しかもVB6の利用率である86.5%が、VB.NETの利用率である51.9%を上回るという結果が出ています。
日本での現在の調査結果は見つかりませんでしたが、僕が知る範囲でも、新規開発で使われている例はさすがにありませんが、過去にVB6で開発されたパッケージソフトのカスタマイズを案件ごとにVB6で行っているという例はまだ少なくないようです(VB5で開発されたパッケージですらまだ現役で使われているようです)。こうした現状があるからこそ、マイクロソフトはいまだにVBマイグレーションセンターのリニューアルなどに勤めているのでしょう。
僕は、ITにとってもっとも貴重な資源はCPU性能でもメモリでもストレージでも帯域幅でもなく、人間のスキルだとつねづね考えています。サーバやソフトウェアをアップグレードするよりも、人間のスキルをアップグレードすること、適切なスキルを動的に調達すること、などが実はITを実現するうえでいちばん難しい課題なのです。
VB6が10年以上使われ続けていることは、良くも悪くもそれを補強してくれる材料の1つなのではないかと思っています。そしてたぶん、これからまだ10年くらいはVB6のアプリケーションは生き延び続けていくのでしょう。
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