TechCrunchとInfoQとCNETの共通点
今年に入ってから、IT系オンラインメディアの運営母体が変わる、ということが相次いでいます。
主に米国のITベンチャーの動向を紹介するTechCrunch Japanはトランスコスモスが運営していました。しかし、昨年の半ばあたりから「トランスコスモスはTechCrunch Japanから手を引きたがっている」という噂が流れており、実際に今年の4月に運営がソシオメディアを母体とするDESIGN IT!, LLC.に変わっています。
ITデベロッパー向けの専門的な情報を提供しているInfoQ Japanは、コンポーネントスクエアが運営していましたが、同社が7月に解散したことを受けて、豆蔵が運営するようになりました。
CNET Japanはご存じの通り、これまで米CBS Interactiveの日本法人だったシーネットネットワークスジャパンが運営してきましたが、同社を朝日新聞社が買収、9月からは朝日インタラクティブが運営しています。
紙かネットかに関わらず、メディアというのは基本的には労働集約産業であるので、それほど儲かりやすい商売ではありません(オンラインサービスまで含めた広い意味でのメディアは別ですが)。特にオンラインメディアの売上げの主体は広告なので景気の動向にも影響を受けやすくなっています。今年に入ってこのようにメディアの運営会社が次々に変わっていくのは、ある意味で当然といえるかもしれません。
また、メディアの運営をメディア以外の本業を持つ事業会社が掛け持ちで行う、という例が増えてきたことにも気付かされます。上記のTechCrunchとInfoQの運営として登場した2つの企業、ソシオメディアはユーザービリティを得意とするコンサルティング企業ですし、豆蔵はIT系のシステム構築や教育を得意とするSIerです。
そのほか事業会社が運営するメディアとしては、米国のブログ界隈の話題を提供する「The Blog Herald Japan」は、SEOサービスを提供するアイオイクスが運営していますし、仮想環境に関するIT系の情報が充実している「VIRTUALIZATION.INFO 日本語版」は、VMwareの代理店でもあるネットワールドが運営をしているようです。
こうした事業会社が母体となって運営するメディアというのは、今後も増えていくことはまちがいないでしょう。メディアはメディア企業だけのものではなく、事業会社でも、コミュニティやグループでも、個人でも運営されるものとなり、いまよりもより幅広い存在になるのだと思います。と同時に、読者にもその中から確かなものを選択する能力を要求されるのかもしれません。