マイクロソフトがSQL Server用PHPドライバをアップデート、Windows上でオープンソースは活発化するか?
マイクロソフトは、UTF-8に対応したSQL Server用のPHPドライバ1.1をリリースしたとブログで発表しました(SQL Server Driver for PHP 1.1 is now available)。8月にCTP(Community Technology Preview)として公開されていたものが、今回正式リリースとなったものです。
今回のリリースの特徴は、以下の3点です。
- PHP 5.3とUTF-8への対応
- SQL ServerとSQL Azureへの対応
- Scroolable ResultsとRow Countへの対応
ざっくりいえば、これでようやく最新のPHPに対応し、(試していないので断言できませんが)日本語も通る、まともなPHPドライバが、SQL ServerとWindows Azureで使えるようになった、ということです。
Windows Azureのローンチ、そしてオープンソース対応
マイクロソフトにとって、ちっぽけなPHPドライバのリリースはたいしたことがないようにも見えます。しかし、実は無視できない3つの意味があるように僕には思えます。
1つ目は、11月に正式ローンチ予定のWindows Azureのための露払いだろうということ。このPHPドライバはWindows Azureでリレーショナルデータベース機能を提供するSQL Serviceにも対応しているため、Windows Azureローンチの前にリリースしておきたかったのでしょう。
Windows Azureはマイクロソフトにとって超戦略商品ですから、ローンチしたときに「あれが足りない」「これが間に合わなかった」とならないよう、できるだけ完璧に準備を整えておきたいことは間違いありません。
2つ目は、中小や中堅企業への対応です。よくいわれているようにWindows ServerとSQL Serverの組み合わせは中小中堅が導入するサーバとして強い地位を築いています。そして、テクネコの加藤氏がブログで指摘しているように、こうした企業や彼らを担当するSIerやコンサルタントたちはいま、SugarCRMなどのオープンソースアプリケーションを上手に業務で活用したいという気持ちが高まっているはずです。
そして3つ目は上記に直結しますが、Windows Server/Windows Azureにおけるオープンソースアプリケーションの品揃えの強化です。OSレイヤでLinuxの存在感が大きくなったように、今後ミドルウェアやアプリケーションレイヤでもオープンソースの存在感の高まりは無視できなくなるでしょう。
Windows Sever+SQL Server、あるいはWindows Azure+SQL Azureで、WordPressやMovable Type、MediaWiki、OpenPNE、Xoops、ECube、そのほか数多くのオープンソースが動作しない状況を放置することは、今後のアプリケーションの品揃えにおいて逆風になる可能性もあります。特に、MySQLを動かすことのできないWindows Azureでは、SQL AzureでPHPをサポートすることがもしかしたら実は比較的プライオリティの高いことだったのかもしれません。マイクロソフトはWindows Azureを披露した昨年のPDCの時点で今年の春のMIX09で、WordPressの動作をデモンストレーションしてオープソース陣営の興味を引こうとしていたのですから。