SilverlightのライバルはFlashじゃなくて
バージョン3のβ版が登場したばかりのマイクロソフトSilverlight。Silverlightは「アドビシステムズのFlash対抗」だと、よく紹介されます。もちろんそれはマイクロソフト自身もそう考えているでしょうし間違っていないと思いますが、Silverlightの真の敵はWebブラウザではないか? と僕は思っています。
「Webブラウザの進化は、FlashとSilverlightを飲み込んでいく」で書いたように、いまWebブラウザは、Webアプリケーションのプラットフォームとなるべく進化中です。一方で、業務アプリケーションを含む世の中の多くのアプリケーションもWebアプリケーション化への道を進もうとしています。この2つが共鳴しあって、ほとんどのアプリケーションがWebブラウザさえあれば利用できる、という世界がくることは決して夢物語ではありませんよね(参考「全部見て5つだけ選びました! グーグルが公開した「Chrome Experiments」のみどころ」)。
しかしそうなったら、マイクロソフトはWindowsと.NETの優位性に大きな傷を負ってしまうことになります。マイクロソフトとしてはそうなってほしくない。
アプリケーションのWeb化が不可避であるとするなら、マイクロソフトとしてはWebブラウザよりも優れたWebアプリケーションのプラットフォームを提供し、そのシェアを高めることで引き続き自社の優位性を維持するしかありません。
マイクロソフトはそれをSilverlightに託そうとしているように思います。
どのように託しているかというと、そのヒントはアドビシステムズの「Adobe Air」に見ることができます。Adobe Airは、Webアプリケーションの実行に特化したWebブラウザ+Flashの機能を備えており、Webアプリケーションを単独のウィンドウ内でまるでスタンドアロンのアプリケーションのように実行できます。オフラインでも動作し、アプリケーションの自動アップデートも可能など、アプリケーションプラットフォームとしてWebブラウザよりも優れている点を数多く備えています。
Webブラウザは、Webページを次々に「閲覧」していくという部分まで変えるわけにはいきません。となると、Webアプリケーションの「実行」に最適化された「Webブラウザ的なもの」のほうがアプリケーションプラットフォームとして優れたものになるかもしれません。Adobe Airはそのポジションを上手に狙いました。
おそらくSilverlightもAdobe Airと同様のポジションを狙いにいくのではないでしょうか。
報道によると、Silverlight 3では、デスクトップアプリケーション的な動作、オフラインの対応などの機能追加も行われたとのこと。この追加機能がSilverlightが向かう方向、それはFlash対抗ではなくAdobe Air対抗であり、その先には自社のInternet Explorerも含めた、Webアプリケーションプラットフォームの座をかけたWebブラウザとの戦い、を示しているのではないかと思うのです。
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