Sideline レビュー ~ Yahoo!製のTwitter検索専用アプリケーション
Yahoo!製のTwitter検索専用アプリケーション、「いまの話題はなにか」を知るためのツール
SidelineはYahoo!がリリースしたオープンソースのTwitterクライアントです。検索専用のため、自分のタイムラインを表示する目的で利用するのではなく、特定のキーワードを含む発言をTwitter全体から検索してそれを参照する目的で利用します。そのためログインは不要で、Twitterアカウントを持っている、いないに関わらず利用できます。
最近ではブログやWebサイトよりも先にTwitterで重要な情報が発言されたり、イベントの最中に参加者や関係者がリアルタイムに発言することでネットでの情報交換手段とするなど、Twitter上での情報の重要度が増しています。
Sidelineはそうした、Twitterでいまなにが起きているのかを把握するためのツールです。
いまTwitterでなにが話題かを自動表示してくれる
SidelineはAdobe AIR上に構築されたアプリケーションのため、Adobe AIRが動作する環境であれば、Windows、MacOS、Linuxなど多くのOS上で稼働します。インストールは、Sidelineのホームページから「Install Now」ボタンを押すだけです。その場でインストールが始まり、Sidelineの起動までシームレスに行われます。自分でファイルをダウンロードしたり、インストールプログラムを実行する必要はありません。
Sidelineを起動すると最初に表示されるのがTrendsタブです。いまTwitterでどんなキーワードが人気なのかがひと目で分かるように、このタブではいま人気のトピックが並んでいます。
ちょうどこのレビュー記事執筆時には、米国の人気タレントであるオプラ・ウィンフリー氏がTwitterのアカウントを持ったことが話題になっていました。
2番目のタブとして表示されている「Favorites」タブは、Sideline上で気に入った発言だけを表示する機能です。Sideline上の発言には右端に★マークが表示されており、このマークをクリックすると、「Favorites」タブに表示されるようになります。
タブを開いてキーワードを登録するだけ
自動的にトレンドを表示してくれるのは楽しい機能ではありますが、Sidelineの主な利用法としては、キーワードを用いてTwitterを検索することでしょう。
例えば、現在のUNIXについて人々がどんな発言をしているのか知りたいとしましょう。このときキーワードとしては「UNIX」だけでは不十分で、「Solaris」や「Linux」「HP-UX」などについての発言も知っておきたいでしょう。Sidelineには、そうした複数のキーワードをまとめて表示する機能を備えています。
まずタブの右側にある「+」ボタンをクリックして、新しくタブを開きます。このときタブにはなにか名前を付けておく必要がありますので「UNIX Tweets」という名前にします。すると、空のタブが開きます。
この空のタブにキーワードを追加するために、いちばん右端の「Add Search Term」ボタンをクリックします。するとキーワード追加のダイアログボックスが表示されるので、そこで「UNIX」というキーワードを登録しましょう。
これで、先ほどの「UNIX Tweets」タブに「UNIX」を含む発言がずらりと表示されたはずです。1つのタブには複数のキーワードを追加することができますので、同じ操作で「Linux」「Solaris」「HP-UX」と追加していけば、「UNIX Tweets」タブにはこれらのキーワードを含む発言が並びます。
しかも、つねにリアルタイムで新しい発言が追加されていきます。そのため、発言が活発かどうか、どんなキーワードが多いのかどうか、ポジティブなのかネガティブなのかといった発言者のいまの感情もリアルタイムに把握できます。
興味深いのは、キーワードを登録するときの「Advanced Search」機能です。ここでは特定のキーワードを排除したり、特定の発言者だけに絞るといった高度なフィルタリング機能だけでなく、ポジティブな発言を選んだり、ネガティブな発言を選んだり、質問だけを選ぶフィルタリング機能まで提供しています。
これは例えば、特定の商品やサービスについてのネガティブな発言だけをモニターしたり、質問だけをモニターするといったマーケティング的な用途にも使えることを意味します。
検索機能はTwitterにもある。現バージョンは日本語処理に問題
実は前述したSidelineのAdvanced Search機能は、Twitterの検索サイト「Twitter Search」のAdvanced Search機能とそっくり同じです。ということは推測ですが、SidelineとはTwitterの検索機能をAPI経由で呼び出して表示しているアプリケーションのようです。
Twitter Searchは、その時点での検索結果を表示するだけですが、Sidelineは複数のキーワードの検索結果をまとめて、しかもリアルタイムに更新し続ける機能を備えています。この部分がSidelineのアプリケーションの付加価値といえるでしょう。
ただし日本語に関しては、Twitter Searchではちゃんと検索できるのにSidelineでは検索結果に表示されない現象が見られました。
例えば、僕自身のTwitterアカウント「jniino」の発言一覧を検索してみたところ、Twitter Searchでは最新の発言も含めて全部表示されるのに、Sidelineでは数件しか表示されません。また、身近なキーワードとして「下北沢」で検索してみたところ、検索結果は0件。もちろん、Twitter Searchでは複数件見つかります。
SidelineのTwitterアカウントからの発言によれば、次のバージョンでは言語フィルタを取り入れるそうですので、いずれはこの問題も解決するかもしれません。
Sidelineはオープンソースとしてリリースされており、内部ではYahoo! User Interface Libraryも使われているということなので、恐らくJavaScriptで書かれたアプリケーションだと思います。ソースコードも公開されていますから、これから自分でもTwitterクライアントを作ってみたいというプログラマには参考になるアプリケーションではないでしょうか。