Prism 1.01β レビュー ~ Webアプリを単独ウィンドウで実行するFirefoxアドオン
Webアプリケーションを単独のウィンドウとしてデスクトップアプリケーションのように実行するツール
Webアプリケーション、例えばGMailやGoogle CalenderといったWebブラウザで動作するアプリケーションを利用する機会が増えてきました。
以前はメールを受信するのに専用のメールクライアントが必要でしたが、いまではメールも、RSSリーダーも、スケジューラも、グループウェアも、Webブラウザから利用可能な数多くのWebアプリケーションが存在します。
しかし、Webアプリケーションを利用するときに不便な点もいくつかあります。
1つは、Webブラウザのタブが増えてしまって、どのタブでメールやカレンダーを見ていたのかすぐには見つけにくくなってしまうことです。もう1つはWebブラウザがクラッシュしたとき。Webブラウザで開いていたアプリケーションがすべて道連れになってしまいます。
PrismでWebアプリケーションをデスクトップアプリケーション風に
PrismはこうしたWebアプリケーションの問題を解決してくれる、Firefox用のアドオンです。2009年5月現在、Mozilla LabsからPrism 1.0β1として公開されています。
Prismが提供してくれるのは、Webアプリケーションごとに用意された専用のWebブラウザです。このWebブラウザには基本的にメニューもナビゲーションバーもなく、タブもありません。専用ウィンドウの中でWebアプリケーションが実行されます。デスクトップやスタートメニューにショートカットが用意され、ダブルクリックすれば自動的にWebアプリケーションが起動するようになっているため、あたかもWebアプリケーションがデスクトップアプリケーションのように見える、というわけです。
Webアプリケーションは独立したプロセスのウィンドウとして動作しているため、ほかのWebブラウザがクラッシュしても影響を受けず、またWindowsのタスクバーにアプリケーションとして表示されるます。たくさんのタブのなかからいちいち探す手間も省けるでしょう。
ショートカットをクリックするだけでGoogle Calendarが起動
今回は、Windows XPのうえでFirefox 3.0.10を使い、Prism 1.0β1を試してみました。
Prismのインストールは、アドオンの画面を開いてインストールボタンをクリックするだけです。自動的にインストールが始まり、終了したらFirefoxを再起動します。これで「ツール」メニューに「Convert Website to application...」という項目が表れればインストール完了です。
ここでGoogle CalendarをPrismでアプリケーション化してみましょう。まずWebブラウザでGoogle Calendarを開き、その状態でこの「Convert Website to application...」を選択します。
すると、以下のウィンドウが表れます。
デスクトップにショートカットを作成するチェックだけを付けて「OK」ボタンを押します。すると、デスクトップにGoogle Calendarのショートカットが作成されるようになりました。
これをダブルクリックすると、Google Calendarのログイン画面が表示され、ログインすればGoogle Calendar専用ウィンドウが表示され、ログインすれば見慣れたGoogle Calendarの画面が表れます(IDとパスワードを保存すれば自動ログインとなり、ダブルクリックするだけでGoogle Calendarが表示されるようになります)。
実行中はタスクバーに表示されますが、Prismの設定によってシステムトレイに表示することもできます。
もちろん、Prismでは複数のWebアプリケーションをデスクトップアプリケーション化できるので、よく使うWebアプリケーションはすべてデスクトップ化してもいいでしょう。
デスクトップ化したWebアプリケーションのアンインストールの手順は特になく、単にショートカットやメニューを削除するだけです。
ただしGearsには未対応
Google CalendarやGMailにはオフライン機能があり、ネットに接続していなくともローカルデータベースの情報を参照することができます。
Prismでデスクトップ化したWebアプリケーションがオフラインでも実行できるとなれば、Webアプリケーションが正真正銘のデスクトップアプリケーションになるといえるでしょう。
そこでさっそく、オフライン対応のためのアドオンであるGearsをFirefoxにインストールしてみました。しかし、残念ながら、どうやってもPrismでデスクトップアプリケーション化したウィンドウ内でGearsの機能を使うことはできませんでした。いまのところPrismではGearsに対応していないようです。
しかしFirefoxの次のバージョンであるFirefox 3.5ではGearsに相当する機能がWebブラウザの機能として内蔵される見通しで、そうなればPrismでデスクトップ化したアプリケーションがオフラインで動作するようになるはず。こうやって、Webアプリケーションとデスクトップアプリケーションの境界線はなくなっていくのでしょう。