国内で相次いでPostgreSQL関連製品が投入、エンタープライズ市場での普及につながるか
このところPostgreSQL関連のニュースが次々と発表されており、エンタープライズ向けのデータベースとして着々と成長を続けている様子が伝わってきます。最近の報道をまとめてみました。
Oracle互換のPostgres Plus Advanced Server
いちばん大きなニュースは、28日に報道された日本のサイオステクノロジーと米レッドハットが、PostgreSQLの商用版を販売しているEnterpriseDBに出資したというもの。
EnterpriseDBが開発しているPostgreSQLベースの製品「Postgres Plus Advanced Server」は、Oracle互換を売りにした企業向けのデータベースサーバです。
同社は昨年IBMからも出資を受けており、また日本のNTTも同じく昨年に出資しています。しかもIBMはDB2にOracle互換の機能を実装するためにEnterpriseDBとライセンスを結び、NTTは社内システムとしてPostgreSQLを採用するなど、出資にとどまらない関係も築いています(参考:Oracle互換のPostgreSQLは勢いを増すか? 動向を追ってみた - Publickey)。
今回出資したサイオステクノロジーは国内での同社の販売代理店もしており、報道によるとPostgres Plus Advanced Serverの「基幹系システムでの採用事例もある」とのこと。
そのサイオステクノロジーは富士通SSLとパートナー契約を締結。富士通SSLは同製品の販売と、商用製品からのデータベース移行サービスを開始しました。
ここでいう「商用製品」とはOracleのことでしょう。恐らく、Oracle 7、Oracle 8あたりの古いバージョンを利用しており、最新のOracleへの移行にはコスト面で迷っている、といった顧客をターゲットにするのではないでしょうか。
DWH用DBのGreenplum Database
一方で、おととい10月27日には、TISがPostgreSQLベースのデータウェアハウス用データベース「Greenplum Database」の販売代理店契約を結んだとの報道がありました。
記事によるとGreenplum Databaseとは、
オープンソースとして提供されているPostgreSQLを拡張したデータウェアハウス用エンジン。分散ノードがそれぞれストレージを持つシェアード・ナッシング型で構成されている。米国では100を超える顧客が利用しており、その利用者の20%が100テラバイトクラスの大規模データウェアハウスを構築している。
日本ではTISがシステムインテグレーションおよび導入支援、東京エレクトロンデバイスが技術サポートと営業サポートを行う体制になるとのこと。
アシストもPostgreSQLのサポートを開始
10月1日には、オラクルの販売代理店として知られるアシストが、PostgreSQLの導入・運用支援サービスを開始したと報じられています。記事によると「2010年3月からは国内初となる24時間365日のサポートも提供する」とのこと。
なぜPostgreSQLをアシストが選択したか、という理由について、担当者は以下のように答えています。
オープンソースのデータベース管理ソフトとしてはMySQLも検討したが「MySQLに比べOracleに近く,Oracleユーザーが入っていきやすい」(データ基盤ソフトウェア事業部 技術2部 岸和田隆部長)ことなどから,PostgreSQLを選択した。
PHPのZend Frameworkで知られるゼンドも、SRA OSS日本支社の支援の下、PostgreSQLの技術支援を提供すると発表。
また、オープンソースに貢献した人を表彰する独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「2009年度日本OSS貢献者賞」には、PostgreSQLの日本語ドキュメント整備を精力的に行い、日本におけるPostgreSQLの普及に大きく貢献したとの理由で本田茂弘氏が受賞しています。
PostgreSQLが普及するきっかけになるか
Linuxが商用OSとして普及するきっかけになったのは、1998年にインテルとネットスケープがレッドハットに投資したことでした。ここにあげたように、このところPostgreSQLに対して国内でさまざまな企業のサポート、投資が行われています。これがきっかけで、国内のPostgreSQLの商用利用が普及するようになるのでしょうか? 10年後、国内でオープンソースのデータベースは、現在のOS市場のLinuxのように大きな存在感を示しているのでしょうか?