日本でもエアコンを使わず外気で冷却するデータセンターの実験始まる

2009年12月1日

グーグルがベルギーに建設した最新のデータセンターでは冷房設備がない、ということを、記事「グーグルの最新のデータセンターは非常識なほど進化している」で紹介したのは7月でした。

その後、マイクロソフトもアイルランドのダブリンに同様のデータセンターを建設したことも「マイクロソフトも最新型の冷房なしデータセンターを完成、グーグル追撃!」で紹介しました。

日本でも外気を冷却に使うモジュラー型のデータセンターが

IIJ、次世代のモジュール型エコ・データセンター構築に向けた実証実験を実施 | プレスリリース | IIJ

このエアコンを使わずに外気で冷却するタイプの最新のデータセンターの実験を、日本でも開始するとインターネットイニシアティブ(IIJ)が11月26日に発表しました

プレスリリースから引用します。

本実証実験では、冷却システムに外気を直接利用する方式を採用したモジュール型エコ・データセンターを構築し、2010年2月より1年間の運用を通じて商用化に向けた検証を行います。年間を通じて外気冷却を使うコンテナユニットによるデータセンターは、日本国内では初めてとなります。

fig 外気による冷却方式とコンテナ型ユニットを用いたモジュール型データセンターのイメージ図(IIJ提供)

プレスリリースにもあるように、外気で冷却するだけでなく、グーグルやマイクロソフトの最新データセンターが採用しているように、コンテナユニットを用いたモジュール型のデータセンターになるとのこと。

これにより、建屋コストの削減と空調コストの削減などが同時に実現でき、従来型データセンターに比べファシリティ(設備)コストの40%削減を目指すそうです。

また、データセンターが使用する電力の効率を示す値PUEは、1.2以下を目指すとしています。

湿度をどうコントロールするのかが課題

外気を使った冷却とひとくちにいっても、単純にサーバに外気をあてれば済むものではありません。例えば雨が降っている日の外気には多くの湿度が含まれていますし、外気温が急に変化すれば機材に結露が生じやすくもなります。こうしたことが機材にどう影響するのか、あるいは影響しないように湿度や機材の状態をどうコントロールするのかといった課題が、外気による冷却にはあるといわれています。

特に日本は湿度の高い地域ですから、外気での冷却に適しているとはいえない面があります。実証実験ではこうした部分も確認することになるでしょう。

今回のデータセンターでは、IIJがデータセンターを設計、NLMエカルがコンテナ筐体の開発を行い、東芝が外気冷却方式による空調設備を、能美防災が防災設備を、河村電器がラックおよび電気設備をそれぞれ提供することになっています。

ITproの報道によると、データセンターは中部地方に建設されるとのこと。

また、IIJは実証実験と並行して商用化の検討を進め、2010年4月には商用システムの構築を開始、2011年3月にはサーバ4000台規模のデータセンターとして稼動させることを計画していると発表しています。

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Junichi Niino(jniino)
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