これをカウンターマーケティング、と呼んでみる
金曜の午後なので、久しぶりに少し気軽に読める話題を書きます。秋はIT業界でもイベントが集中する季節。今週は「VMware Virtualization Forum 2009」と「Japan Linux Symposium」などが行われました。来週は「ITpro Expo」と「オープンソースカンファレンス2009」などがありますね。
「VMware Virtualization Forum 2009」の基調講演については、記事「仮想化のメリットと課題について、導入済みの大手企業はどう考えているのか?」で書きましたが、この取材に向かう途中で興味深い光景を目にしました。
右の写真は、「VMware Virtualization Forum 2009」の会場となったグランドプリンスホテル赤坂の最寄り駅である赤坂見附駅の構内。そうです。ヴイエムウェアのライバルであるシトリックスが、このような構内広告を展開していたのです。
「ほほう、なかなかやるじゃないか」と思ったのですが、赤坂見附駅はビジネスマンが多く利用する駅でもあります。たまたまビジネスマン向けの広告展開の期間がヴイエムウェアのイベントとぶつかっただけかもしれないな、とそのときは思いました。
しかしシトリックスの広告が明らかにヴイエムウェアのイベントに向けられたものだと確信したのは翌日のこと。2日目の基調講演を取材し、その足で「Japan Linux Symposium」の基調講演であるリーナス・トーバルズ氏の話を聞きに行こうとしたときに目撃したのが、その下の写真の光景です。
会場となったグランドプリンスホテル赤坂から赤坂見附駅へ通じる歩道で、シトリックスのみなさんがビニールの手提げ袋を配っています(写真では小さくて見えませんが、弁慶橋のところと、赤坂見附駅の手前にいました)。
「シトリックスさん、なかなか大胆なことをしますね」と思いつつ、もちろん僕は手提げ袋を受け取りました。中味は、翌週に行われる「ITpro Expo」でのシトリックスブースへの案内と、無償版Citrix XenServer 5.5のCD-ROMでした。
僕はマーケティングには詳しくないので、こうしたアクションのことをなんと呼ぶのか分かりませんが、まるで、相手のふところにすばやく飛び込んで攻撃するカウンターのようだなと、勝手に「カウンターマーケティング」と名付けてみました。
もちろんこれはヴイエムウェアにとっては迷惑なことかもしれませんが、イベントに集まる人たちは仮想化に興味を持っている人ばかりのはず。イベントついでにシトリックスの情報を受け取れるのであればいいことだし、僕自身は(過度にやりすぎなければ)ほほえましいやり方だと思って見ていました。また、ある意味でイベントを盛り上げてくれているわけですし。
ライバル企業の足下に広告を展開する、というのは、かつてIT業界がいまよりも元気だったころにときどき目にした光景です。IBMの箱崎の最寄り駅である水天宮前にオラクルが広告を出す、あるいはかつてのオラクル本社の最寄り駅赤坂見附にサイベースが広告を出す、といったことを覚えています(いまはどちらも行われていません)。
それだけにシトリックスのアクションは「ああ、仮想化はいまホットな分野なんだな」ということを実感させてくれた出来事でした。
来週は「ITpro Expo」にも取材で行く予定です。もちろんシトリックスブースにも立ち寄ってみることにしましょう。