ビデオ会議の最高峰「テレプレゼンス」は等身大の相手を映し出す
武田薬品工業が、シスコシステムズのビデオ会議システム「テレプレゼンス」を導入したと発表しています。
テレプレゼンスとは、いわゆるビデオ会議システムの最高峰に位置するもの。相手の動画を高精細でほぼ等身大に映しだし、あたかも同じ会議室にいるかのように会議ができるシステムです。シスコでは「Cisco TelePresence」と製品名になっていますが、一般名称としても「テレプレゼンス」という用語が使われているようです。
一般にテレプレゼンスの臨場感は大きなスクリーンとスピーカーだけによるものではなく、それを配置する会議室の内装や会議用のテーブルも専用にあつらえることで実現しているため、かかる費用は一拠点あたり数千万円ともいわれています。
また、画像と音声の会話を同期させるリップシンクや、耳障りなエコーをキャンセルし、相手の声も立体的に再生する機能など、内部的にも高度な仕組みが採用されているとのこと。
たしかに画面が大きくなることで臨場感が増しても、リップシンクしていないと違和感を感じそうですし、いちいちマイクに向かって話しかけるのではなく相手に向かって話しかけられて、相手の声も画面に映る相手の方向から聞こえてくるようでないと、同じ会議室にいるような体験を作ることはできないのでしょう。もちろん、バンド幅だけでなく会話が成立するようなレイテンシを実現しないと衛星中継のようにぎくしゃくしたものになってしまうでしょうから、ネットワーク回線もそれなりの品質のものが求められそうです。
テレプレゼンスには、シスコシステムズだけでなく、電話会議の機器でよく知られるポリコムや、ヒューレットパッカードなども参入しています。その背景には、企業が経費削減のために出張を減らすと同時に、エコロジー活動の一環としても役に立つということがあるようです。
最近ではネットブックにもビデオカメラとマイクが内蔵されており、Skypeのようにビデオ会議を実現するソフトウェアや、LotusLiveのようにビデオ会議の機能を提供するオンラインサービスも増えてきて、気軽にビデオ会議を行える環境が整ってきました。テレプレゼンスのような高額なシステムはグローバルに展開している企業が採用するのだとしても、ビデオ会議によるコミュニケーションは一般のビジネスマンのあいだでこれから増えていくのではないでしょうか。
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