オラクルによる買収で消えるバーチャルアイアン、そしてゴスリングもか?
5月13日にオラクルが買収したばかりの仮想化ベンダ、バーチャルアイアン。製品開発は中止され、新規顧客への販売も停止予定、社員は約10人を残して解雇されたと英国のメディアThe Registerが伝えています。
- Oracle kills Virtual Iron-ware • The Register
- Oracle社、Virtual Ironのブランドと10人を残して社員全員を切り捨て(20090619-1) | virtualization.info
オラクルは現時点で3つの仮想化ソフトウェア、Oracle VM、バーチャルアイアンのVirtual Iron、そしてサン・マイクロシステムズのxVMを保有しています(厳密にはサンの買収は完了していませんが)。3つともオープンソースであるXenを基にしているという共通点があるため、これらをOracle VMの製品ラインに統合するのは比較的容易ではないかと予想されています。
Virtual Ironは3つの仮想化ソフトウェアのうちもっとも顧客が多いといわれており、それが買収後すぐに製品の存続停止が決定されたとなれば、オラクルはその顧客を自社のものにするのが買収の目的だったのかもしれません。
次はサンのxVMの番なのでしょうか?
ゴスリングも去っていくのか
オラクルに買収されたもう1つの企業、サン・マイクロシステムズでJavaの生みの親と呼ばれているジェームズ・ゴスリング氏のインタビュ-記事がeWEEKに掲載されています。日本語訳を@ITで読むことができます。
ゴスリング氏は言葉を選びながらインタビューに答えるタイプの人という印象なのですが(僕も以前にインタビューしたことがあります)、今回のインタビューでは自分の感情や現状を率直に語ってくれているようです。
例えば、「Javaの将来はどうなると思いますか」という質問に対して、彼はこう答えています。
まったく予想がつきません。買収が完了すれば、Javaの命運はオラクルとエリソン氏(オラクルのCEO)および同社幹部にかかっています。あなたが知っていること以上のことは、私にも分かりません。
JavaOneの基調講演の最後に、サン・マイクロシステムズ会長のスコット・マクニーリ氏が登壇したときにどう思ったか、と問われて「皆、泣いていました。」とまで言っています。そして現状のサンを次のように例えています。
サンは見知らぬ宿主に寄生するウイルス体になったのです。今後の展開はいずれ明らかになるでしょう。
オラクルに買収されたことをポジティブに捕らえているとは思えない発言で、少々驚かされます。ゴスリング氏はオラクル買収後のサン・マイクロシステムズに居続けるのでしょうか?
私が去り、登場しない未来の歴史も想像できますし、その逆の歴史も考えられるということです。今のところ、データがありません。
彼はエンジニアらしい「データがありません」という理由で将来の自分の予想を放棄しています。しかしこの言葉から、彼がオラクルによる買収後もずっとそこに居続けると想像することは僕には難しく思えます。
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