[速報]マイクロソフトのPDC09開幕、Windows Azureで仮想マシンが実行可能、アジアにデータセンター開設
マイクロソフトの開発者向けプライベートイベント「PDC09」が米ロサンゼルスで開幕しました。同社のクラウドとしてWindows Azureが発表されたのが昨年のPDC。あれから1年が経過し、今年のPDCでは同社の本格的なクラウド戦略が明らかになろうとしています。
日本時間の18日午前1時半から行われた初日のキーノートスピーチでは、Windows Asureに関連する以下の主な項目が発表されました。
- Windows Azure Virtual Machine:Amazon EC2のインスタンスのように、Windows Azureの上で仮想Windows Serverインスタンスを実行可能。ローカルのWindows Serveアプリケーションがそのまま実行可能
- Windows Azure Drive:Windows Azureのストレージを
リモートの、Windows Azure上の仮想マシンからNTFSドライブとしてマウントし、利用可能に - Microsoft Pinpoint:アップルのAppStoreのように、企業やアプリケーションを顧客が見つけるためのマーケットプレイス
- SQL Azure DataSync:企業のデータセンター内で稼働するSQL Serverと、クラウドで稼働するSQL Azureのデータ同期ツールなど
- Windows Server AppFabric:スケーラビリティ強化のためのキャッシュ、アプリケーションのためのワークフロー機能、サービス管理など、.NET Frameworkの上でより高度な機能を提供
- Windows ServerとWindows Azureで共通のシステムレイヤー:オンプレミス用のプラットフォームであるWindows Serverと、クラウドプラットフォームであるWindows Azureが同様のシステムレイヤーで構成され、一貫性のある管理、運用、開発が可能になる
(11/18追記:Windows Azure Virtual Machineは少なくとも当初は特定のロール専用で、Amazon EC2のように自由には内容をインストールできないようだ、という情報がありました)
これらが紹介されたキーノートの模様を、ライブストリーミングの画像からダイジェストで紹介しましょう。
PDC09 初日のキーノートスピーチ:ダイジェスト
最初に登場したのは、すっかりマイクロソフトの顔となった同社のチーフソフトウェアアーキテクト、レイ・オジー氏。昨年発表したWindows Azureがどのように進化しているのか、このPDCで紹介すると宣言。
Windows Azureの今後の予定は、1月に製品ローンチ、2月から課金予定。
Windows Azureの新機能として、仮想マシンをサポートすると発表。インスタンスの種類は最小で1.6GHzの1CPU/1.75GBメモリから、最大で8CPU14GBメモリの4種類。これにより、既存のWindows Serverアプリケーションが簡単にWindows Azureで動作するようになる。
そして、Windows Azureのストレージを、リモートの上記の仮想マシンからNTFSドライブとしてマウント可能になる「Azure XDrive」発表。それ以上の詳細は語られず。
新たに立ち上げられたWebサイト「Microsoft Pinpoint」では、専門家や企業、アプリケーションなどを顧客が見つけるためのマーケットプレイス。すでに公開が始まっている。また、コード名「Dallas」として、データのマーケットプレイスも開始。NASAのデータ、あるいはAP通信のニュースなどが提供されている。
レイ・オジー氏に続いてキーノートスピーチのホスト役として登場したのは、サーバー&ツールビジネス担当プレジデントのボブ・マグリア氏。
同社の検索エンジンであるBingチームがデータセンターで行っている「Auto Pilot」を紹介。これはサーバが故障した場合、それを発見、置き換え、そして復帰が行われるのを自動化している。Windows Azureではこれをゼネラライズしているという。
1970年代から10年ごとにコンピューティングは新しい時代を迎え、そして来年2010年からはクラウドの時代となる。
マイクロソフト上級エンジニアのドン・ボックス氏は、これまでWindows Azureを利用してくれた開発者がくれたフィードバックに対して、マイクロソフトからの返答を紹介。
Windows AzureならCプログラムでローレベルなプログラミングができる。高速に動作するCGIだって書ける。ポインタも扱えるし、なんとアセンブラだってコンパイルできるぜ!
続いて、SQL Azure Data Syncの紹介。SQL Server Management StudioからSQL Azure Data Syncを起動、これでクラウド上にあるSQL Azureと、自社のデータセンター内のサーバで稼働しているSQL Serverとのデータ同期がファイアウォール越しで可能になる。
データを同期しておくことで、例えばデータセンターのサーバが落ちたときのフェイルオーバー先としてSQL Azureを利用したり、サーバ性能を超える処理要求がきたときにWindows Azureをセカンダリのデータセンターとして利用することができる。
マイクロソフトは現在、こうしたWindows Azureと企業のデータセンター間でのデータ同期や、またWindows Azureアプリケーションからデータセンター内のSQL Serverへ接続するなど、両者間のさまざまな接続について「Project Sydney」と呼んで取り組んでいる。
続いてはAppFabricの発表。AppFabricとは.NET Frameworkの上に構築されたサービス群であり、キャッシュ、ワークフロー、モニタリング、サービスバス、サービスホスティング、アクセスコントロールなどを実現する。これはWindows ServerとWindows Azureの両方のプラットフォームに対応するもの。
そしてWindows Server(図の左側)とWindows Azure(図の右側)は一貫した同様のレイヤ構造を持つ。開発者はVisual Studioという開発環境により、1つのコードでWindows Azure、Windows Serverの両方のプラットフォームで動作するアプリケーションを開発でき、またMicrosoft System Centerによって両方を管理することができる。一貫したアプリケーションモデルだ。
それぞれの製品の予定は以下の通り。
マイクロソフトはWindows Azureのインフラ投資を世界中に行っていく。アジアでは2010年にシンガポールと香港にデータセンターの構築を予定している。
初日のキーノートスピーチをダイジェストで紹介しました。明日2日目のキーノートスピーチでは、Windows Server関連のソフトウェアとして、分散メモリキャッシュ、分散アプリケーションサーバなどが発表されると予想されています。2日目のキーノートスピーチもダイジェストで紹介する予定です。
追記(11月30日):Windows Azure XDriveについて誤った記述が含まれていたので、内容の一部とタイトルを変更しました。元のタイトルは「[速報]マイクロソフトのPDC09開幕、Windows Azureを仮想ドライブに、クラウドで仮想マシンも実行可能」でした。