アップル製タブレットPCを迎え撃つ「超薄型PC」、インテルとマイクロソフトの期待は大きいが
以前からうわさのあったアップルのタブレットPC。今年の秋にも登場するという報道が相次いでおり、徐々に具体性を帯びてきました(参考:アップル製タブレットPC、9月にも正式発表か--米報道:ニュース - CNET Japan)。
しかしWindowsマシン市場でも、この秋に魅力的な製品が登場します(一部登場し始めているようですが)。インテルの超低電圧プロセッサを搭載した超薄型PCです。この新しい分野のPCについて、インテルCEO ポール・オッテリーニ氏とマイクロソフトのCEOスティーブ・バルマー氏がそれぞれ別の場所でアピールしています。
インテルCEO、超薄型PCはネットブックの課題を解決
インテルCEO ポール・オッテリーニ氏が超薄型PCをアピールしたのは、7月14日に行われた同社決算の発表のために行われた電話会議です。
上記の記事で、超薄型PCとはどういうものなのかが説明されています。
超薄型ノートPCとは、Intelの超低電圧(ULV)チップをベースとし、多くの場合13インチのスクリーンを搭載した、低コストのノートPCのことである。ネットブックは通常、11インチ以下のスクリーンを搭載し、より低コストで、より低パフォーマンスなIntelの「Atom」プロセッサを使用している。
つまり、ネットブックのように低価格だがスクリーンサイズも性能もそれ以上である、というのが超薄型PCのポイントです(ただしネットブックよりはやや高価格になるようです)。オッテリーニ氏はこの超薄型PCが、ネットブックを購入した顧客が感じるであろう不満、すなわち性能が低いという不満を解決するとしています。
「これらの機器(ネットブック)で3Dゲームのプレイやオフィスアプリケーションの実行を試みたユーザーの多くは、動作が少し遅いと感じる傾向にある。そして、それはプロセッサだけのせいではなく、アーキテクチャ全体の問題である」
超薄型PCはインテルにとってネットブックよりも高い利益率が期待されているため、ネットブック市場にも超薄型PCを広げていきたいとインテルは考えているようです。
マイクロソフトCEO バルマー氏「誰もシンクライアントなと信じない」
一方、マイクロソフトCEO スティーブ・バルマー氏も、7月30日に行われた同社の年次アナリストミーティングで、超薄型PCの登場に期待するコメントを明らかにしています。
超薄型PCはネットブックよりもやや高い価格と予想されており、マイクロソフトにとってもネットブック向けのWindowsラインセンスよりも高いライセンス料を課すことができるため、同社の業績向上に寄与することが期待されています。
Ballmer told analysts there would be a new class of "ultra-thin" PCs" -- or high-end netbooks -coming this year that would combine the light weight of netbooks with high-power and high-performance of traditional PCs.
バルマー氏は年内にも登場する「超薄型PC」の登場に触れた。このマシンは、ネットブックのように軽量だが通常のPCのような高い性能を併せ持つ。
そしてバルマー氏は、グーグルのAndroidやChrome OSがネットブックに搭載されることによるPCのシンクライント化をきっぱりと否定します。誰もシンクライアントなど信じていないと。
"Nobody believes in thin clients," Ballmer told analysts
ネットブックより高性能な超薄型PCの登場は、Windows、Officeというネイティブアプリケーションにビジネスの軸足を置くマイクロソフトにとっても期待が大きいものになっています。
アップル製タブレットPCの影
インテルにとってもマイクロソフトにとっても期待の大きい超薄型PCですが、まだ水面下にあるアップルのタブレットPCが早くもその期待に影を落とし始めています。
同アナリストによれば、複数のPCメーカーが、Appleの発表を目にするまでは、次世代のネットブックの製造を休止する措置まで取っているという。
アップル製タブレットPCがどのようなものとして登場するのか、インテルとマイクロソフトの期待通りに超薄型PCが人気を集めてくれるのかどうか。オッテリーニ、バルマー両CEOともに気にかかるところでしょう。