オペラの「Opera Unite」はWebのリアルタイム化に沿った進化に見える
オペラソフトウェアが新コンセプトの製品「Opera Unite」を発表しました。Opera UniteはOpera 10にWebサーバ機能を組み込んだもので、利用者同士が直接コミュニケーション可能になるコミュニケーションプラットフォームだと、オペラは説明しています。
第三者のWebサーバを必要としないアプリケーション実行環境
オペラがOpera Uniteに期待しているのは、Opera Uniteがプラットフォームとなり、その上に「Opera Unite services」と呼ばれるさまざまなアプリケーションが展開されることです。
現時点でオペラはOpera Unite servicesの例として、自分のPCのファイルを外部から参照できるファイル共有機能を実現する「File Sharing」、写真を共有できる「Photo Sharing」、チャットルームを開ける「The Lounge」など8種類のアプリケーションを公開しています。
これらのアプリケーションの機能だけをみれば、既存のありふれたWebアプリケーションと変わりません。Opera Unite servicesの特徴は、第三者のWebサーバを必要とせず、利用者同士のPCを直接接続することで実現している点です。
Opera Uniteは、Opera LabsからPreview Release版がダウンロード可能になっています。
ソーシャルネットワークをサーバ不要で構築可能
オペラでプロダクトアナリストを担当するLawrence Eng氏はブログで、Opera Uniteで新しいソーシャルサービスが可能だとしており、その例として友人と音楽を共有する架空のJukeboxアプリケーションに言及しています。
このアプリケーションでは、単に自分のPCに保存されている音楽を友人と一緒に聴けるだけではなく、複数の友人がそれぞれ自分のPCに保存されている好きな10曲をピックアップすると、それらをランダムな順番に再生してみんなで聞くことができます。
さらに、それらの曲をみんなでその場でランク付けできたり、画面脇にチャットボックスを設けて会話しながら聞くといった機能もできるだろうと、Eng氏は想像しています。
そして、こうしたソーシャルな機能をもつさまざまなアプリケーションの登場を予想しています。
Think of multiplayer games, from simple two-player challenges like Chess up to sprawling RPGs. And Opera Unite is not just about fun. Think about collaborative applications such as spreadsheets, documents or Wikis, which you can work on with friends and colleagues without having to host them on a third-party site
チェスのような2人でプレイするゲームから、多人数のロールプレイングゲームを考えてみてください。しかもOpera Uniteはゲームだけでなく、表計算やWikiのようなものも、第三者のWebサイトに依存せずに友人や同僚と作業できます
Webのリアルタイム化に沿った進化に見える
Opera Uniteの特徴から想像すると、利用者はそれぞれ同時にOpera Uniteを起動しておく必要があるため、利用者がリアルタイムにコラボレーションするアプリケーションが自然な使い方のように思えます。また、そのための技術としてEng氏はCOMETにも言及しています。
You could use reverse Ajax or "COMET" techniques to mean that all the updates are seen on everyone's computers in real time; multiple people could make changes at once, without having to lock people out.
オペラがこうした進化を選ぶのは、TwitterやGoogle Waveの登場で鮮明になってきたWebのソーシャル化と、ストリーム化、リアルタイム化の文脈に沿ったものだと見ることができます。
こうしたPC同士を直接接続する方法で情報共有などを行うアプリケーションは、例えばマイクロソフトのGrooveなどさまざまなアプローチが過去にもありました。しかしOpera Uniteのようにある程度メジャーな製品による汎用的なプラットフォームへのチャレンジは、恐らくはじめてではないかと思います。
Eng氏のブログによれば、オペラはOpera Uniteで既存のサーバをベースとしたソーシャルアプリケーション、Webアプリケーションから主導権を取り戻そう、と呼びかけています。
Social networking is important, but who owns it -- the online real estate and all the content we share on it? How much control over our words, photos, and identities are we giving up by using someone else's site for our personal information? How dependent have we become? I imagine that many of us would lose most of our personal contacts if our favorite Web mail services shut down without warning.
そして、Opera Uniteならそれが本当に実現できるのか? という点は今後のキラーアプリケーション待ちということなのでしょう。
オペラが公開した、Opera Uniteのコンセプトを伝える1分20秒のビデオを紹介しましょう。
さて。申し遅れましたが、昨日の記事「Opera 10たぶん明日公開! Firefox 3.5は今月末! Safari 4、Chrome 2.0は公開済み!IE 9はいつ?」の中で予想した、Opera 10正式版の予想は間違っていました。すいませんでした。該当記事にも注を付けておきます。
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